第六十三話 手紙の真相(セイ視点)
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今回は、あのお手紙にどんな機能があったのか、詳しく説明(笑)
それでは、どうぞ!
「ユミリアっ、あの手紙、どうなってるの!?」
結局、あの後、手紙は様々な人の手に渡って、踏みつけられたり火にくべられたり、水に沈められたりした。そして、その度に頭上からタライが落ちてきたり、髪だけが燃えてツルツルになったり、泥水が突如として落ちてきてドロドロになったりと、使用人、騎士、貴族達は、さんざんな目にあっていた。そうして、いつの間にか噂が出回ったのか、とある使用人がビックビクしながら第二王子の元へ手紙を運んだことで、騒ぎは収まった。
「みゅ? あれは、自立型で報復トラップつきの防犯機能を備えたイルト様へのお手紙だよ?」
「えっ? いや、あの……」
当然だとでもいうかのように答えるユミリアを前に、僕はもしかしたら、あの手紙は普通なのかもしれないと思ってしまう。そして、トラップの内容を嬉々として説明し始めるユミリア。
(うん、第二王子以外が手紙の中身を見ようとした場合もえげつない……)
もし、勝手に中身を見ようものなら、その人物の衣服は一瞬にして切り裂かれ、素っ裸になってしまうらしい。ここまで来ると、あれは手紙の形をした危険な兵器にしか見えない。
「陛下から許可をいただいたから、イルト様の手紙を普段確認する人達には連絡がいってるはず。だから、何の問題もないの」
「……そっか」
『陛下から許可』という言葉で、やはりあれは普通ではないのだと思い知る。聞けば、ユミリアは既存の便箋にいくつかの魔法陣を刻んだだけのようだ。そして、今後も同じように第二王子へと手紙を届けるつもりらしい。
「本当は、直に送れる仕組みを整えられたら良いんだけど、悪用されないとも限らないから、ある程度防犯対策を整えてから作るつもりなの」
「あー、うん、そっかぁ」
「それでねっ、イルト様に向かう敵に関しても、今、いくつか対策をしてるから、また陛下に許可をいただくつもりなのっ」
これ以上、ユミリアはどんなことをするつもりなのか……僕は、恐ろしくて聞けなかった。しかし、ここに一匹、空気の読めない奴がいる。
「どんな対策だ?」
コウが、尻尾をブンブンと振りながら尋ねると、ユミリアはよくぞ聞いてくれましたとばかりに満面の笑みを浮かべる。
「簡単に言うと、張りつけて、動けなくするの。ゴキブリ対策と一緒だよ?」
ゴキブリ対策というのが良く分からなかったが、どうやらそこまで悲惨なものではないらしいと安堵しかけた瞬間。
「でもね、それだけじゃつまらないから、張りつけた後、蜂が集るようにしておいたの。下手をしたら、そこで巣が作られちゃうかもね?」
どうやら、ユミリアは第二王子のこととなるといつも以上に容赦がなくなるらしい。ブルリと震えた僕達は、そのまま口をつぐむのだった。
ユミリアちゃんの愛情たっぷりなお手紙。
かなりえげつないですね(笑)
まぁ、これで、イルト君の手紙に手を出す奴は居なくなることでしょう。
それでは、また!