第四百四話 殲滅戦(リリアナ視点)
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さてさて、シリアスさん、そろそろ出番……何か、随分と横に伸びた気がしますが、まぁ、大丈夫でしょう。
それでは、どうぞ!
今回の神界襲撃は、確かに、前代未聞の事件ではあった。通常、門番がすぐに対応し、警告を出すはずが、それもなく、唐突な襲撃によって犠牲になった神々は多い。
襲撃者は、もちろん邪神。邪神はあまり群れることはなく、大規模な軍勢を率いてきたとなれば、それは、一柱の邪神の能力であると考えるのが普通だ。しかし、今回、そのセオリーは全く当てにならなかった。何かがおかしいと気づいた時には、仲間が操られていく光景を見ることしかできず、私も、同じように操られ、危うく創世神様を害してしまうところだった。……いや、マリフィーに傷を負わせた時点で、私は神として、マリフィーの姉として、どこまでも堕ちていたのだと言っても過言ではない。だから……。
「さぁっ、かかってこいっ!! 私が、このリリアナが相手になるぞっ!」
名誉挽回、汚名返上。そのために、この邪神の軍勢はちょうど良かった。片手に美しい白い剣を持ち、殺気を全開にして笑えば、邪神達は一気に、私を脅威とみなして襲ってくる。
「わぉ、剣神リリアナ様が、本領発揮だ」
レインボードラゴンの三男の言葉通り、私は、剣神の名に恥じない戦いを披露することとする。
武器を構える邪神、魔法を飛ばす邪神。それらの攻撃を最小限の動きでかいくぐり、多くの邪神を斬り捨てていく。
神殺しの剣。光の剣。そんな異名を持つ、とある神が作りあげた最強の剣。クラウ・ソラス。邪神を倒すことに特化した剣と、剣神と呼ばれるほどに卓越した剣技を持つ私が組み合わさったことは、邪神にとっての最大の不幸だと言われるほどに、その威力は絶大だった。
「邪神は滅する。我らが創世神様に逆らう輩を許しはしない」
邪神を斬れば斬るほどに、この剣は力を増していく。魔法を切り裂き、武器を両断し、邪神どもを血祭りにあげていく。
邪神達とて、知能はある。不利を悟れば、その場から離脱しようと考えるのは当然のこと。しかし、それは、私の仲間が許さない。
「地へ這いつくばるが良い」
「おうっ、逃がすわけねぇだろ?」
レインボードラゴンの長男が、重力を操って邪神達を押し潰し、次男は風を操って、空へ逃げようとする邪神達を戦いの中心へと叩き戻していく。
「ほーらほーらこっち、地ーの鳴ーるほーうへっ!」
「ふわぁあ……もー眠いっ!」
三男は、大地を操って邪神を飲み込み、四男は自身の抱える睡魔を邪神達へ勝手に付与して昏倒させる。
「まだ、歓迎会は続けてもらいますよ?」
「クッソーっ! 今度は、負けねぇ!」
「ミディアムとウェルダン、どっちが好みだ?」
五男は、器用に魔力糸を操って雁字搦めに拘束し、六男はその巨大な体で特攻して邪神を吹き飛ばす。七男は、劫火の海を広げて邪神達を囲って、焼き尽くす。
どうあっても逃れられない戦いに、邪神達は必死に活路を見出そうとするものの、そんなものは不可能だ。私達が、この程度の邪神に負けるはずがないのだから。
殲滅は無慈悲に。そして、速やかに行われ、余力を残したまま、次々に、別の邪神が居る場所を襲撃していく。救出できた神々も、そのほとんどが心強い戦力となり、いつしか、邪神は全て、討ち取っていたのだった。
バトルパート、あともうちょっと続けようかなぁとは思いますが、間にユミリアちゃん達のお話を挟むかも?
それでは、また!