第三百八十三話 罪悪感の増幅
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よっし、ユミリアちゃんと一緒に、邪神達をいじめたおしましょうね〜♪
それでは、どうぞ!
イルト様が手をかざして数秒。『もう良いよ』という言葉に、渋々……本当に、渋々、私は拘束を解く。
そこに現れたのは、白目を剥いて、泡を吹くムエリスとアエラ。痙攣ももちろん、断続的に続いている。
「うわぁ……」
誰かのそんな声を聞きながら、私は、『気付け薬(改)レベルⅤ』を用意する。今回は、ほぼ無色透明の安心安全に見える気付け薬。万が一、イルト様に使うことがあったらと思って作ったもの、とは違うが、その過程でできたものには違いない。
汚くて触りたくないムエリスとアエラへ、私は魔法で一口分の気付け薬を球体にして浮かせると、そのまま、二人の口の中へとダイブさせる。
「ブゴッ、ゴキュッ」
「ゴバッ、ゲボッ」
つい、うっかり、一部を鼻に侵入させてしまったのは、ちょっとしたお茶目ということで大目に見てもらおうと思ったのだが、背後では『ひぃっ』とか『よ、容赦、ない』とかいう声が聞こえた気がして、ニッコリと振り向いてみる。
「「「「…………」」」」
誰もが沈黙を貫いたのを確認した私は、ゴミの方へと視線を戻す。
危険な痙攣を繰り返し、口からの泡が膨れ上がる二人は、死の淵をさまようくらいの感覚に襲われていることだろう。
『気付け薬(改)レベルⅤ』は、安全安心な気付け薬を目指す最中に出来上がった、凶悪危険な気付け薬の最もヤバそうなものだ。意識の覚醒と消失を二分ほど繰り返し、普通の生き物に使おうものなら、十秒と持たずに発狂し、廃人になるという代物。ただし、気付け効果は抜群で、この薬を使えば、一月は意識を失うことなく活動できる。邪神とはいえ、神である二人に効くかどうかは分からなかったが、それなりには効果があるらしい。ただし、今回は時間がないので、二分を待つことなく、意識を取り戻してもらうことにする。
「えいっ!」
「「ギャアァァァァァァアッ」」
私がかけたのは、浄化魔法。ただし、今の私は神に戻ってるため、当然、邪神である彼らの魂に直接作用する。それとともに、再生しようとする力が跳ね上がり……結果、とりあえず意識を取り戻すことには成功する。
「ごべんなざいごべんなざいごべんなざいごべんなざいごべんなざいごべんなざいごべんなざい」
「ゆるじで、ごべんなざい、ずみまぜん、ゆるじでぐだざいぃぃいっ」
未だに痙攣を続けながらも謝る彼らの姿に、私は、イルト様の力が正常に作用したのだと確信し、イルト様へと笑顔を向けた。
んー、こんなもんかな?
え?
ユミリアちゃんに恐怖して謝ってるのか、罪悪感を増幅させられて謝ってるのか分からない?
そんなの……決まってますよね♪
それでは、また!