第三百八十二話 特殊な力
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さて、ユミリアちゃんの作戦はどんなですかね?
それでは、どうぞ!
少し落ち着くために、問答無用でイルト様を抱き締めた私は、そのまましっかりと深呼吸する。
「ユ、ユミリア?」
「ん……イルト様の匂い……落ち着く……」
この後に待ち受けることを思えば、このくらいしても許されると思う。そうして、短い時間ではあるものの、イルト様を堪能した私は、作戦通りに、ムエリスとアエラを異空間から引きずり出す。
「……ユミリア、これって……?」
「この方が、うるさくなくて良いでしょう?」
ムエリスもアエラも、その声を聞くだけで不愉快な存在であるため、私は、異空間の中でこの二人を鎖(動けば電流が流れる)で雁字搦めに拘束して、猿轡(異様な臭いと味付き)を噛ませて、目隠し(トラウマを何度も見せることが可能)と耳あて(精神をかき乱す音が発生)を装着させていた。もちろん、それらはどれも劇物であるため、二人は絶えず痙攣を繰り返している。
「それじゃあ、コレに罪悪感を増幅させて死にたくなるように仕向ければ良いんだよね?」
「そうしたいのは山々ですけど、残念ながら、とっても、とっても残念ながら、死んでもらっては困ります」
イルト様はムエリスを、私はアエラを。きっと、同じように見下ろしながら、ズタズタに引き裂きたいのを懸命に我慢する。
セイ達が、その様子を見て、一気に後退ったのは……まぁ、正しいとは思えた。
「まぁ、良いか。せいぜい、死にたくなるくらいにこき使ってやれば」
「えぇ、そうですね。できれば、視界に入ってほしくないですけど、今回だけは、妥協しましょう」
かつて、アエラとムエリスが私達を殺せた理由。それは、どういうわけか、この二人が揃えば、敵を弱体化させられるという特殊な力があったからだ。神には、確かに特殊な力を持つ者が居る。しかし、その力の発動条件などは本人にも分からない。だから、きっと……あの日、私達があれほどまでに呆気なく殺されてしまったのは、彼らにとっても予想外で、だからこそ、私はセルティス達を守ることに成功した。だからこそ、イリアスは、呪いを受けるだけで、捕まることがなかった。
「彼らの力で、この空間そのものを弱体化させられれば、私達でも攻略可能です」
そんな私の言葉にうなずいたイルト様は、早速、彼らに罪悪感の増幅を促す魔法を、手をかざしてかけ始めるのだった。
え?
ムエリスとアエラの扱いが酷い?
いやぁ、このくらいしておかないと、変態ってとっても危険な生き物なんですよ?
それでは、また!




