第三十六話 万能薬完成
ブックマークや感想をありがとうございます。
今回は、万能薬をしっかり作って参りますよ~。
それでは、どうぞ!
神霊樹の森から帰ってきた私は、早速とばかりに万能薬の作成に入った。当初は錬金術による作成を考えていたのだが、そうなるとメリーに何と言って飲ませれば良いのか分からなかったため、調薬による万能薬作成という方法を選ぶ。
試験管やフラスコ、ビーカー、アルコールランプなどが並ぶ調薬キット……むしろ、理科の実験キットと言われた方が納得できるそれの前に、集めた材料をドサドサとストレージから出していく。
(神霊樹の雫に、幻魔の尻尾、ポポベリー、トトベリー、奈落の花、独り苔、エルダートレントの樹液、メェのミルク、妖精の魔力水、青石)
瓶に入ったキラキラと輝く水や、時々透明になる赤い鱗を持つ尻尾、拳大のイチゴらしきものと、同じく拳大のブルーベリーらしきもの、真っ黒な薔薇に似た花に、プルプルと振動している苔、赤みがかった樹液に、普通のミルク、普通に見える水入りの瓶と、青いだけの石。それらを出した私は、調薬キットの台に全てを並べて、一気に魔力を注ぐ。
必要な量がそれぞれから抜き取られ、細かく砕かれたり、フラスコの中に入ったり、炙られたり、グツグツ煮られたり、冷やされたりと、目まぐるしく動いていく。そして……。
「でちたにょっ! (できたのっ!)」
ほどなくして、少し大きめの瓶いっぱいに、桃色の液体が満たされる。
「これが、万能薬?」
背後で私をじっと観察していたセイがそう尋ねてきたため、私はくるりと振り返ってうなずく。
「しょうにゃにょっ。ばんにょーやく、いちごみりゅくばーじょんにゃにょっ(そうなのっ。万能薬、イチゴミルクバージョンなのっ)」
ちなみに、ポポベリー、トトベリー、メェのミルクが、イチゴミルクの要素だったりする。
「これを飲ませたら、ユミリア様の大切な人が助かるんだよな?」
「みゅっ」
「頑張れ、ユミリア」
「みゅうっ」
珍しそうに万能薬を眺めるローランと、激励してくれる鋼にうなずくと、私は、この日のために隠しておいたコップを一つ取り出し、そこに万能薬をコポコポと注ぐ。
「万能薬って、そんなに飲むものなの?」
「みゅ? ちがうにょ。ほんらいにゃら、こんにゃにいれにゃいにょ。でも、こんかいはありゅていどうしゅめてりゅかりゃ、このくりゃいがちょうどいいにょ(みゅっ? 違うの。本来なら、こんなに入れないの。でも、今回はある程度薄めてるから、このくらいがちょうど良いの)」
そう説明すれば、セイは感心したように息をもらす。
(これで、メリーを助けられる。運命を変えられるっ)
そして、ほどなくして、夕食を持ってきたメリーが、この場に訪れた。
イチゴミルク味……ユミリアちゃんに似合う可愛さですよねっ。
さぁ、ユミリアちゃんはどうやってこれをメリーさんに飲ませるのかっ!?(また、容赦という言葉が消えるのか!?)
それでは、また!