第三百五十五話 神の記憶(イルト視点)
ブックマークや感想をありがとうございます。
今回は、ずーっと出したかった、ワクワク設定〜♪
それでは、どうぞ!
原因が分かって、ユミリアを守ろうとするのと、分からないままに戸惑うのとでは、心持ちが全く違う。例え、僕が神に呪われているのだとしても、それならば、それに対抗する手段を模索するまでだった。
「なら、神界に行けば、色々と解決できるかもしれないってことか」
「……全滅もあり得ますが、確かに、その通りですね」
それならば、ユミリアには側に居てもらう方が良い。そうすれば、きっと、僕は頑張れる。そして、きっと、今度こそ守ってみせるから。
腕の中の温もりに、そっと息を吐いた僕は、ユミリアを離さないためにそれを口にしようとして……ふいに、本が、目についた。真っ黒な本。ユミリアが持ち帰った、反逆者に関する本。それを意識した瞬間、無性に、それを読まなければならないという衝動に駆られる。
「っ、お嬢様っ、殿下!?」
「なっ、これは一体!?」
「ちょっ、何? これっ!?」
外で、誰かが騒いでいるような気はしたものの、つい先程まで、離れた場所にあった本が、一瞬で手元に移動してきたことを、僕は、何も疑問に思うことなく手に取る。
『魂の記憶』
そう、書かれた章へ、自然とページを進めて、そこへ目を通す。
『イリアス・ラー・リライクとユレイラ・リー・アルフィアに捧ぐ。最期の記憶』
(僕と、ユレイラ……)
今、腕の中に居るユレイラのことであれば、どんなことでも知りたい。その想いだけを胸に、また、ページを捲る。
『彼らが殺されたのは、我々の失態だ。イリアス様も、ユレイラ様も、我々を守るために、命を落とされた』
白い炎と、赤い血の記憶。セルティス、コルト、マリフィー、アメリア、ネシス……彼らは、よくやってくれた。僕とユレイラの仲を嫉妬した邪神は、僕からユレイラを奪うために、ユレイラを殺した。あぁ、そうだ。奴は、許しがたい。僕のユレイラを殺すなんて。僕の大切な半身に手を出すなんて……。
『二柱の邪神は、ユレイラ様を殺し、イリアス様をも殺した』
ユレイラを手に入れたかった邪神。僕を手に入れたかった邪神。彼らは、手を組んで、襲撃を仕掛けてきた。僕とユレイラの友である五人は、僕達のために抵抗して、殺され、その魂を穢されかけて……ユレイラが、それを防いだ。その途端に、ユレイラ自身が死んでしまったのは、奴らにとっても誤算だったのかもしれない。それでも、奴らの目的は、僕達の魂。それを理解していたからこそ……僕は、ユレイラが穢されないように、必死に守って、戦って、命を落とした。その際に、確かに、呪いを受けたのは覚えている。僕が、ユレイラを守れなくなるように、僕が、ユレイラを殺してしまうように……。
全ての記憶を見た僕は、そっと、視線を上げた。
むふふ〜。
イルト君の設定、ユミリアちゃんの設定を、盛大に暴露です♪
さてさて、イルト君?
頑張り時ですよ〜♪
それでは、また!