第三百四十五話 異常な世界
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さてさて、やっと、これを出せますっ。
それでは、どうぞ!
見えた光の先へと早足で進めば、すぐにそこへと辿り着く。
「……これは……」
「絶景、だね……」
見渡す限り、美しい自然が広がる光景。広大な森が広がる中に、巨大な滝、噴煙を上げる火山。そして、そのずっと先に、一つだけ、建物らしきものが見える。よくは知らないが、アラブ系の宮殿っぽい建物のようだ。
「……ここ、どこだろう?」
「……俺達、地下へ進んでたんだよな?」
眼下に広がる光景に、どう言えば良いのか分からないなりに、これがあり得ないものだということだけは理解できる。
私達が居る場所は、断崖絶壁の崖の壁面に空いた穴であるようだが、そこから顔を出して上を見上げても、崖っぷちに当たる場所が全く見えない。
「ダンジョンは、確かに不思議な存在ではあるけど……こんな、大掛かりな空間魔法が使われてたら、さすがに私も気づくと思うんだけどなぁ……」
「ユミリア様だけじゃねぇ。俺も、そんな魔法には気づかなかったし、それだけの魔法であれば、セイだって気づけたはずだ。それなのに、そんなことは何も聞いちゃいねぇ」
確かに、多少の空間の歪みはダンジョンの中にあった。しかし、それでも、こんな、私が覚えのない遠くへと移動させるような魔法ではなく、ただの空間拡張魔法のみ。つまり、基本的には下へ、下へと下ったことは間違っていないのだ。
「……調べてはみたいところだけど、今は、こんなことに時間を取られるわけにはいかないね」
「あぁ……今は、一度戻った方が良いかもな」
空を飛ぶ生き物を見れば、それは、どうにも地球で見知った恐竜の類に見える。と、いうより、よくよく観察してみれば、ティラノサウルスのような生き物が動いているのだって確認できる。しかし、私の知る限り、こういった生き物は『コツ生』の中に存在していない。
(まさか、過去の地球、とか?)
そんなわけがないと思いながら、適当に考えていると、ふいに、凄まじい悪寒に襲われる。
「「っ!!?」」
それに対して、私もローランも思わずビクッと体を震わせて、一歩後退る。その、直後だった。森の一角で、大爆発が起こったのは。
「なっ」
「うおっ」
それは、凄まじい魔力の爆発。思わず恐れを抱いてしまうほどの強烈な魔力による破壊。咄嗟に結界を張って爆風凌いだものの、私達は、それよりも、目の前の光景が信じられなかった。
「……」
「あれだけの、爆発だった、のに?」
魔力を用いれば、爆心地の特定くらいは容易い。しかし、特定した後で、その場所の木々が消失しているのを予想していたのに、少しだけ、そこが焦げたくらいにしか見えない。いや、実際に、たいしたダメージはないのだろう。なぜなら……。
「なぁ、ユミリア様……俺が間違ってたら言ってくれ……。あの木々の一本一本に、セイ以上の魔力を感じるのは、気のせい、だよな……?」
そう、言えるものなら言いたい。
私は、何も言うことなくローランの手を掴むと、一気に、元来た道を引き返すべく、走り出したのだった。
いやぁ、異常、というか、危険な世界ですわな。
一人で一国を沈める魔力を持つセイに匹敵するどころか、それ以上の魔力を持つ木が普通に生えてる世界。
誰が何と言おうと、ハードモードな世界ですねっ!
ここが何なのかは、まだまだしばらく先で明かすことになりそうです。
それでは、また!