第三百二十八話 影
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シリアスさーん、出番ですよ〜♪
と、いうわけで、どうぞ!
扉を押し開けたその先は、だだっ広い空間だった。綺麗に同じサイズの石が埋め込まれた石畳、何本もの太い柱が等間隔で並び、その奥には、大きな祭壇がある。
「やっぱり、思い出せない」
その状態を見てもなお、セイ達の記憶は戻らないようだった。
祭壇は金と黒を基調としたもので、遠目から見ても、それが美しいものなのだと理解できる。ただし……その上に載った棺らしき黒い箱から、肉片らしきものが溢れていなければ、だが。
「何で、あんなもんが……?」
眉間にシワを寄せて呟くローランに、私は自分の予想を話す。
「多分、あれは生贄」
「生贄?」
「うん、恐らくは……」
『ここに封印されていたほとんどを喰らい尽くして召喚するために』
そう、告げた瞬間だった。パチパチと、手を叩く音がしたのは。
「素晴らしい! これを理解してくださるなんてっ」
どこから現れたのかは不明だが、突如として祭壇の前に現れた人型の黒い影。そいつは、ひとしきり男か女か分からない声で私の予想を褒め称えた後、ニィッと口角を引き上げ、黄ばんだ歯を見せる。
「……あの階段は、生贄集めのため?」
「その通り! そして、お気づきでしょうが、あの扉だって、大切な生贄を確保するためのものだったのですよ?」
すぐに戦いを挑んでくる様子はないため、私も含め、全員が、周囲を警戒しながらそいつの話を聞く。
「多分、あれは、私以外が開けたら罠が発動していた、だよね?」
ドクロだらけの扉。しかし、一箇所だけ、ドクロが埋め込まれていない場所があり、私は、その場所を押して扉を開けていた。でなければきっと……。
「えぇ、ドクロを押せば、押した場所によって、様々な罠を取り揃えておりましたが……いやはや、ここに侵入されるとは思いもしませんでしたなぁ」
「そう。なら、侵入できた私達に教えて? ここに封印されていたのは何だったのか、そして、あなたが、何を召喚しようとしているのか」
「もちろんですとも! やはり、努力した者には褒美を与えなければなりませんしねっ」
とりあえずは、情報が得られるらしい。そのことに一瞬だけ安堵した私は……すぐに、それを後悔することとなる。
「なっ」
装備は、そこそこ良いものを揃えていた。かつて、サバイバルを行った時に身に着けていた、漆黒シリーズだ。それなのに、私は、それに反応できなかった。私の影から伸びた黒い触手……いや、もしかしたら、影そのものに捕らえられ、完全に、身動きを封じられる。
「「「「ユミリア(様)っ」」」」
そして、すぐに助けようとしてくれたセイ達もまた、同じように捕らわれてしまうのだった。
ユミリアちゃん達、捕まっちゃった♪
さてさて、どうなっちゃうんでしょうかねぇ?
それでは、また!