第三百二十話 妖精王(セイ視点)
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今回は、初の妖精王との遭遇!
それでは、どうぞ!
辿り着いた先。そこは、随分と見覚えのある泉だった。
「ここって……」
「僕の、拠点??」
そこは、ユミリアと初めて出会った場所。僕が、ずっと住みついていた場所。
「え? ここ?」
「……」
コウもローランも、その光景に呆然とする。ついでに……。
「着いたのか?」
「ここに、精霊王が居る??」
出かける直前に、ユミリアから渡されたバッグの中に入っていた、マルディックとスーちゃんが、そこから顔を覗かせる。ミーシャを助けられなかった。守れなかったと後悔する二匹は、今回の探索に付いてきていたのだ。
もちろん、アルト王子もこちらに来たがっていたものの、何一つ条件を満たしていないということと、流石に王子を危険な場所に連れ回すことはできないとの意見により、城に待機という形になった。
(え? ここに行くなら、十分くらいで着いたはずだよね?)
やはり、メリーの方向音痴は健在だ、と思ったところで、違和感に気づく。
「ユミリア……」
「うん、違う、ね」
確かに、そこは僕が住みついていた泉に、とても良く似ている。しかし、それは、決定的に違っていた。
「ここに住みついているのは、確か、二人の妖精王です。そして……」
「あれあれー? この子、まーた来ちゃったぁ?」
「ダメよぉ、その子、ここにしか来れない呪いでもかかってるんでしょう?」
何だか、とんでもなくチャラチャラした金髪の妖精と、随分扇情的な格好をした緑の髪の妖精が現れる。
「うるさいですよ。潰しますか?」
「あははっ、口が悪いのも相変わらずぅっ」
「うふふぅっ、いつまで経っても、とーっても可愛いっ!」
聞きたくない。聞きたくないとは思いながらも、僕達は、メリーへと視線を向ける。
「……ご紹介します。こちら、光の妖精王と風の妖精王です。できることなら、あまりかかわらない方がよろしいかと」
「ひっどぉいっ! メーちゃん、久々に会った親友に、なんてこと言うのぉ?」
「親友になどなった覚えはありません」
「そうよねぇ、親友は私だけ、だものね?」
「あり得ません」
それはそれは、嫌そうに紹介するメリー。『メーちゃん』などという名前で呼ばれたメリーは、恐ろしく不機嫌だ。
僕が居た泉にとても良く似た場所。ただし、その場に満ちる魔力量は、恐ろしいほどに高い。もちろん、この魔力に気圧されるような者はこの場に居ないものの、ここまで魔力が満ちた空間は、普通の生き物にとっては毒であるとさえ言える。
「それでぇ、そっちのやつらは、なぁに?」
「混ざりものまでいるけど、殺して良いのぉ?」
そして、その魔力は、そのまま殺意として、僕達へと向けられた。
……何がなんでも、相手が悪過ぎる、と思うのは、きっと、私だけじゃないはず。
さぁさぁ、妖精王達はどうなりますかねぇ♪
それでは、また!