第三百十九話 故郷へ(セイ視点)
ブックマークや感想をありがとうございます。
今回からしばらくは、多分、セイ視点。
それでは、どうぞ!
精霊王はともかくとして……妖精王という存在に、僕は、極力関わりたくなかった。精霊王も妖精王も、それぞれ属性ごとに王が居る。そして、精霊の方は分からないが、少なくとも、妖精は混ざりものを嫌う。そう、例えば、僕のように、水の妖精と光の妖精の間に生まれた妖精は、とても、嫌われる。
(いや、でも、ミーシャを助けるためなら、このくらいっ)
正直、妖精という存在に良い思い出など存在しない。むしろ、彼らの悪意のせいで死にかけること数十回。今でこそ力を持っていて妖精達に何かされても対処できるという自信はあるものの、それでも、積極的に会いたい存在ではない。
「セイ殿、大丈夫ですか?」
「っ、うん、問題ないよ」
ミーシャの状況は、今、全く分からない。本当ならば、すぐにでも助けに向かいたいところではあるものの、物理的にそれが不可能だということで、急いで精霊やら妖精やらの王に認められなければならない状況だ。
珍しく、メリーに気にかけてもらいながらも、僕達は、妖精の森に来ていた。そこは、僕が生まれた場所。そこは、僕が虐げられてきた場所。そこは……大切な出会いを果たした場所。
「みゅっ、それじゃあ、メリー、道案内よろしくっ!」
「はい、しっかりと、ご案内してみせましょうっ!」
そんなユミリアとメリーの会話を聞きながら、僕は自然とメリーの先導に従う。堂々と背筋を伸ばして歩くメリーには、一切の躊躇いもなく、僕達は、何も不安に思うことなく着いて歩くこと、一時間……。
(……不味い、そういえば、メリーは、極度の方向音痴だったっ)
クリスタルロードにて、酷いことになっていたメリーとローランの姿を思い出すも、メリーのその姿に躊躇いはない。いつも迷う癖に、全く、これっぽっちも、迷っている素振りを見せない。
(考えてみれば、コウは気づいてたんだよね!?)
あの時の一番の被害者は、コウだった。そういえば、出発前に、コウが何か言いづらそうにしていたと思い出すも、今はもう、どうにもならない。
こちらの様子を窺う妖精達にばかり気を取られていたものの、これは、かなり不味い状況かもしれないと気づく。
「コウ、ねぇ、もしかして、これ、不味いかな?」
「う、うん、ぼく、どうしようって思ってて……でも、止める勇気、なくて……」
ユミリアの期待に応えようと張り切るメリーに、何の違和感も感じないまま、メリーに付いていくローラン。全幅の信頼をおいて、メリーの背中に付き従うユミリア。ここに切り込むのは、少しばかり厳しいものがあった。
(いや、こうしてる間にも、ミーシャは危険にさらされてるんだっ! ここは、僕がガツンとっ)
「着きましたよ」
「みゅ? ここって……」
「えっ……?」
口を出そうとした矢先に、到着を告げるメリー。そして、その場所に、ユミリアと僕は、絶句した。
前回、鋼が言い淀んだ内容が判明しましたね(笑)
メリーさん、方向音痴なんですよねー。
いや、メリーさんが悪いわけじゃないですけど、こればっかりは、ね?
ただ、今回は奇跡的に到着(笑)
それでは、また!