第三百十七話 セイの想い
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よし、今日こそ、シリアスパート~♪
それでは、どうぞ!
地上で神が生まれるのは、極めて稀なこと。彼らは全て、かつては人間以外の知的生命体であり、膨大な魔力を有していた。そして、何らかの理由で死力を尽くして戦い、極めて低い確率で、神として覚醒する。
「人間以外……」
「そうよ。あぁ、でも、もう一つ、条件があったわね」
今までの話だけでも、随分と困難だと思えたのに、どうやら、それ以上の何かがあるらしかった。
「各属性の精霊王、ならびに、妖精王達に認められること。その過程がなかったら、神にはなれないわ」
「妖精……」
難しい顔で呟くのは、セイ。かつて、自身を虐げてきた同族に関して、思うところがあるのだろう。
「神になった直後は、どうなるの?」
考え込むセイを横目に、聞きたいことは全て、聞いてしまおうと質問する。
「それが……神界に喚ばれたのは覚えているんだけど、何があったのかまでは覚えてないのよ」
「そちらに関しては、私が説明しましょう」
一応、厳ついながらも美形男性な山の神が眉間にシワを寄せたところで、竜神様が説明を引き継ぐ。
「神界に喚ばれた地上神候補達は、試練を受けます。そして、最終的には、現世との繋がりを絶ち、この地上へと落とされます」
(現世との繋がりを、絶つ、か……)
呑気に、『あら、そうなのね』と言う山の神だが、これは恐らく、山の神になる以前の記憶を失った、ということなのだろう。しかも、そのことに一切の疑問を抱かないような処置すらもされているように見受けられる。
(試練に受からなかった者がどうなるか、は……どうにも、話したくないみたいね)
竜神様であれば、きっと、その辺りのことも知ってはいるのだろう。しかし、ここに山の神が居るからか、それとも、何かしらの制約があるのか、何らかの理由で話せないと考えるのが自然だ。
「神になる瞬間、神界へ喚ばれる瞬間、そこに、別の存在が割り込むことは可能?」
「……恐らくは、不可能かと」
「なら、地上神候補が、神界に着いた途端、女神を見つけ出してミーシャを救い出すことは?」
「限りなく不可能に近いかと」
つまりは、不可能と断言はできない。そう取れる言い回しをした竜神様に、私より先に、セイが反応する。
「ねぇ、僕は、どこまでの条件を満たせてる?」
魔法のスペシャリスト、星妖精。魔力量は膨大で、一人で国を相手取ることも可能な力を秘めた存在。そんなセイならば、確かに、ミーシャ救出に最適かもしれない。しかし……。
「ダメだよ。セイ」
セイの覚悟も、想いも、全て理解した上で、私はそれを否定した。
さてさて、否定されちゃったセイは、いったい……?
まぁ、ミーシャちゃんを助けようって方向性は変えませんけどね?(だって、唯一の良心的存在を手放したら、ねぇ?)
それでは、また!