第三百九話 ローランの目覚め
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さて、ローランには帰ってきてもらわなきゃですね!
それでは、どうぞ!
ローランと邪神を椅子に座らせて、精神世界へ送り込んだ私は、セイ達と交代で、ローランや邪神に栄養剤を飲ませながら、状態維持に努める。精神世界では、恐らく、ローランと邪神の二人が混ざり合う寸前くらいの場所で、その感情を共有しているはずだ。下手をすれば、本当に混ざり合ってしまうため、二人の様子観察は必須であり、私達は、そのままアルテナ公爵家へと転移して、観察を続行した。
途中、イルト様が目を覚まして、多少錯乱していたため、たっぷりと愛を告げて、逃がさないと、自分でも重いなと思える感情を吐露すれば、何とか落ち着いてくれて、今は、イルト様だけ、一度お城の方へと戻ったところだ。
「ユミリア。ユミリアの家族も、もうそろそろ帰ってくるみたいだよ」
「ありがとう。セイ」
「魔王達、ちゃんと見つけた! 瘴気に呑まれないように、ずっとミルラスが守ってたみたいっ」
「そっか、確かに、魔王は瘴気の影響を受けやすいよね……二人は、無事?」
「うんっ! ちょっと弱ってるけど、栄養剤あげたら、泣いて喜んでた!」
「……そっか」
セイの報告と、鋼の報告を聞いて、とりあえず、無事を確認できた人が増えて安心する。恐らくは、魔王とミルラスは、あの栄養剤を無理矢理飲まされたのだろうとは思うが、あれは、滅多に使うことがないと思って、特に味の調整をしていないため、かなり不味い。眠っているローランですら、呻き声をあげるほどの代物なのだから、相当だ。
(まぁ、でも、あれを飲んだなら、大丈夫だよね?)
ローランが眠りに落ちてから三日。かつて、魔王の精神世界へ飛び込んだ時の道具を改良したもので邪神の精神世界へ飛び込んだローランが心配ではないということはないが、きっと、ローランならば大丈夫だと信じられた。
「ちょっと、ローランの様子を見てくるね」
ローランの世話は、現在、ムトやメリーにも任せている状態で、今は、恐らくメリーが対処しているはずだ。ローランと邪神が眠る客室へ着けば、そこにはやはり、メリーが居た。
「メリー、どんな様、子……」
ローランの姿を見ようと思っていた私の視線は、自然と、邪神の方へと吸い寄せられる。
瘴気が徐々に薄くなっている気はしていた。しかし、本当に、そんな気がする、程度の変化であり、ローランが目覚めるのはまだ先だろうと思っていた。
「っ、瘴気が、消えていく……反転に、成功した!?」
そう思って、ローランと元邪神の様子を見るも、二人が目覚める気配はない。
「お嬢様、こちらを」
メリーから差し出されるのは、あらかじめ用意しておいた気付け薬。それを、私は躊躇わずにスポイトで抜き取り……片方をメリーに渡し、片方を私自身が持って……それぞれ、元邪神とローランの口へと注ぎ入れる。
「「◎★!ガ▽?●??ォ!ッッッッッ」」
そうすれば、二人は、滅茶苦茶な悲鳴を上げて、痙攣しながらも目を覚ますのだった。
……うん、酷い目覚めでしたね(笑)
メリーさんも、容赦ないですからねぇ。
それでは、また!