第三百六話 竜神様救出作戦!7(ローラン視点)
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さて、ローランは無事に、竜神様を助けられるかなぁ?
それでは、どうぞ!
『うぶっ!?』
竜神様と俺の思考の境目が分からなくなりかけていたところで、俺は、唐突に口の中に広がった、酸っぱくて苦くて辛くてヌメヌメで生臭い何かによって、覚醒する。
『う、がぁ……』
吐きたい。今すぐに、口の中に入った何かを吐き出してしまいたい。しかし、今、ここに居る俺は、思念体であって、体は眠った状態だ。竜神様を助けない限り、俺は、口をゆすぐこともままならないというわけで……。
『……っ…っ……』
後から襲い来る、何とも言えないエグミに悶絶することとなる。
(ま、不味いぃいっ!!)
今もなお、竜神様の思考は流れてくるものの、今の俺には、『不味い』以外の感情が浮かばなかった。
『あ、ぐぅ、げぇっ……』
あまりの苦痛に悶え続けたのは、一体、どのくらいだっただろうか?
ようやく、意識を回復させてみれば、竜神様は、幼い頃の俺と出会っていた。
「竜神様!」
嬉しそうに、こちらへかけてくる幼い俺に、竜神様の中で、愛しいという気持ちが大きくなるのをしっかりと感じる。それと同時に、俺が置かれている状況への嘆きも、しっかりと感じ取れた。
(そうか……竜神様は、ずっと、傷ついていたのか……)
きっと、俺が殺されそうになった出来事は、きっかけに過ぎない。竜神様は、ずっと、ずっと、望まぬ契約に縛られて、苦しくて、苦しくて、堪らなかったのだろう。
俺の話を聞く竜神様は、とても優しく見えていたが、その奥底には、深い、深い悲しみがある。幼い俺が成長し、国外追放を受けた日、竜神様の心に、深い、深い傷がつくのを感じた。
「あぁ、あぁぁあぁぁぁあぁあっ!!」
(愛し子を傷つけた奴らが憎いっ! 私は、竜人のために生まれたというのにっ、その竜人が憎いっ! あぁぁあっ!! なぜっ、なぜっ! 私はっ、私はっ!!)
あまりにも、強烈な感情。しかし、それでも、それは俺を助けることを優先したおかげで、強制的に絶ち切られることとなる。力を使い果たした竜神様が眠りについたからこそ、そんな状況が生まれる。
(竜神様、あなたは、ずっと、ツラかったんだな……)
無理矢理喚び出され、脅され、繋がれ、愛するものを傷つけられ……そうして、きっと、徐々に、徐々に、竜神様の心は、堕ちていった。これを元に戻そうとするならば、きっと、これと同じくらい時間をかけて、徐々に、徐々に、回復させるしかない。しかし……。
(そんな時間は、残されちゃいない、か……)
それができるのであれば、今、俺はここには居ない。何としても、短い時間で竜神様の精神を反転させなければならない。
竜神様が眠る間、世界はドロドロとした闇に閉ざされる。それはきっと、竜神様の心を如実に表している世界で、それを見れば、早く、何とかしなければという気持ちにもなる。
(どうすれば……)
竜神様が目を覚ますまでの間、俺は、必死に考え続けた。
不味い、ということは、あの栄養剤の方が投与されましたね……絶対飲みたくないですね♪
でも、おかげでどうにか竜神様の思考に呑まれずにすみましたけどね~。
それでは、また!