第二百八十三話 使徒の悪意(アルト視点)
ブックマークや感想をありがとうございます。
シリアスさん、準備は良いかな?
今日は、たっぷりとシリアスさんを投入しますよ~。
それでは、どうぞ!
「そうですねぇ。私達は、この世界のことを、可愛い存在だと思ってますよー?」
そんな曖昧な返事に、私は、やはり、疑いが強まる。
私達の間に流れる不穏な空気を察してか、ミーシャ嬢は何も言わないながらも、どこか不安そうに私を見つめるが、今は、それに応えることはできない。
「ふふっ。そんなに警戒しなくてもー、今は、何も手出ししませんよー?」
「『今は』ですか」
それは、今後はどうなるか分からないということではあったものの、ひとまず、大丈夫だということだ。もちろん、今後、警戒を怠るつもりはないが。
「では、ここまでご足労いただき、ありがとうございました。ここから先は、私達の問題ですので、どうぞ、お帰りください」
「えぇー、これはまた、随分と邪険にされてますねー? でも、本来の目的は、まだ、達成してないんですよー」
そう言うと、ムムの視線はミーシャ嬢の方へ向かう。この時点で、私は気づけば良かった。これから告げられる言葉が、どれだけ、残酷なものとなるのかを。
「聖女ちゃんを転生させた神がー、ついさっき、見つかったんですー」
「えっ? そうなんですか?」
ミーシャ嬢が転生したということは、私達にとっては当たり前の事実だ。しかし、ミーシャ嬢を転生させた神が見つかったということの意味が分からず、私はミーシャ嬢を見るものの、彼女は私の視線に気づかずに、ムムの言葉を待つ。
「それでですねー? やっぱりー、正規の手続きは踏んでなかったみたいでー、処分が決まったので、ご報告をと思いましてー」
事情は知らない。しかし、この時点で、雲行きが怪しいことに気づいていた私は、話を遮るべきか、悩んでしまった。それが、致命的なミスだとは気づかずに……。
「処分の一つはー、転生の撤回ですー。なのでー、聖女ちゃんの魂は、もらっていきますねー?」
何を言われたのか、咄嗟に、理解できなかった。しかし、その一瞬で、ミーシャ嬢の体は、その場に崩れ落ち、私は慌てて、彼女を支えることとなる。
「っ、ミーシャ嬢!?」
「それじゃあ、またお会いしましょうー」
「ま、待て!!」
取り返しのつかないことが起きたことは、混乱する思考の中でも理解できた。しかし、ムムは、私の声に応えることなく、その場から一瞬にして姿を消す。
「っ、どこに! いや、それよりっ。ミーシャ嬢! 聞こえるかっ? ミーシャ嬢っ!!」
何度も何度も、ミーシャ嬢に呼び掛けるものの、彼女が応えることはない。脈はあるし、心音も聞こえる。生きてはいるはず……なのに、私は、強い不安と恐怖に襲われる。このまま、ミーシャ嬢が目覚めない未来を幻視してしまう。
「頼むっ、頼むからっ! 目を覚ましてくれっ!!」
しかし、その後、ミーシャ嬢が目覚めることはなかった。
ミーシャちゃんもアルト君も、ムムの登場で無事だった、と思わせておいて、大ピーンチ!!
あっちもこっちも、危険、危険♪
さてさて、解決、できるかな?
それでは、また!