第二十六話 男の子
ブックマークや感想、評価をありがとうございます。
さぁ、謎の男の子登場~。
前回は、『黒衣を纏った』としか書いていなかったはずが、なぜか感想で黒髪だと思われてて焦りました(その通りなんですが……)
それでは、どうぞ!
黒衣を纏った幼子をじっと見る私は、その子の髪の色が、私と同じだということに気づく。つまりは……。
(この子も、迫害されてきたの、かな?)
迫害された果ての封印。もし、そうだとするならば、これほど悲しいことはない。
(とりあえず、禍々しい感じはしないかなぁ。多分、危険はないっと)
「随分、雁字搦めだね」
「でも、ぼくらなら、解ける」
真っ黒な鎖を解けると言う二人に、私はそれならばと、聞いてみることにする。
「あにょこ、ちゃしゅけらりぇりゅ? (あの子、助けられる?)」
「ユミリアが望むなら」
「べ、別に、このくらいはどうってことないから……仕方ないから、やってやるよっ」
どうやら、あの子は、この封印から解放されるらしい。
(同じ年頃、かな? 仲良くなれるかなぁ?)
鋼が氷を、セイが光をぶつければ、けたたましい音を立てて、当たった箇所の鎖が砕け散る。
「みゅっ、えあーくっしょんっ! (みゅっ、エアークッションっ!)」
地面に激突しそうになった男の子を、私はすんでのところで魔石を取り出して受け止める。
「ん、んん……」
封印が解けたからなのか、男の子が小さく呻き声をあげる。セイに手伝ってもらって、エアークッションの上でうつ伏せになっていたその子を仰向けに寝かせると、その目蓋が開く様子をしっかりと眺める。
(私と同じ、黒い瞳……)
「……天使?」
私がぼんやりとしていると、少し高い子供の声が聞こえる。
「あぁ、ここは、天国かぁ……」
「天国、違う」
「とりあえず、ユミリアはそいつから離れよう?」
男の子が悟ったように呟く姿に、鋼が否定して、セイが警戒をあらわに私の前に出る。
「え? ……っ!」
私以外の存在に気づいた男の子は、セイと鋼の姿を視界に入れるや否や、飛び起きて、青くなって、白くなって、虚ろな目になる。
「……殺すなら、一思いに殺してくれ」
「みゅうっ!?」
何がどうして、そんな発言をするに至ったのか分からない。私が声をあげれば、鋼がグルルと唸る。セイも、後ろ姿しか見えないが、何やら殺気立っているように感じられた。
「つまり、君は僕達に殺されるようなことをした、とでも?」
「ユミリアに惚れたか? それならば、万死に値する」
「みゅっ!? まちゅにょ! しょにょこ、ころしちゃめっ、にゃにょぉっ! (みゅっ!? 待つの! その子、殺しちゃメッ、なのぉっ!)」
私が大慌てで制止すると、何やら鋼は不機嫌そうに唸るし、セイは黙り込んでしまう。
「……俺を殺しに、ここに来たんじゃないのか?」
「ちがうにょっ(違うのっ)」
何がどうして、そんな解釈になるのかは不明だったが、一つだけはっきりしたことがある。
(私達には、話し合いが必要だ)
しかし、そう考えた直後、男の子は、フラリと倒れて、意識を失うのだった。
何やら誤解が発生中~。
さぁ、男の子の正体を予想できる人は居るのか!?
それでは、また!