第二百六十四話 取り戻したもの
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……寝落ち、数秒前な眠気と必死に戦って……もう、ムリ……。
それでは、どうぞ(-.-)Zzz・・・・
真っ白、といっても、全てが全て、白いわけではない。確かに白い空間ではあるものの、そこにポツンと置かれている寝台や、椅子は、この目が痛くなるほど白いこの場所で、柔らかな木の色を纏っていた。
「あぁ、ごめんなさい。背景にまで、気を配っていなかったようです」
あまりの白さに反応を示せないでいた私の背後で、いつの間に来たのか、女神とムムが揃っていた。女神がパチンと指を鳴らせば、あの感覚がおかしくなりそうな白い空間は、どこぞのカントリーハウス的な内装の空間へと変わってしまう。ただ、女神が背景と言った通り、きっと、それには実体などないのだろう。
「それで、私は、どうすれば良いですか?」
治療というからには、薬を飲んだり、手術をしたり、なんてものが思い浮かぶ。もちろん、今の世界では魔法での治療が一般的ではあるのだが、それでも、すぐに浮かぶのは、日本人として当然の想像の範囲だった。
「心配しなくてもー、愛し子ちゃんは、そこのベッドで眠るだけですよー。その間にー、女神様が治療を進めてくれますからー」
「私が行うのは、魔法での治療に近い行為です。痛みもなければ、苦しさもありません。ただ、眠るユミリアさんを相手に、じっくりと、記憶を呼び覚ませるよう、力を巡らせるだけですので」
何となく、予想した通り、あのベッドは、私が使うもので合っていたらしい。治療の方法に関しては、私に馴染みのない魔法のようなものを使うとのことで、少し不安になるものの、イルト様にギュッと手を握られることで、全てが霧散する。
(頑張ろうっ。それで、ちゃんと、イルト様と過ごした時間を思い出さなきゃっ)
今の私は覚えていないイルト様との時間。それらを取り戻すためにも、私は、女神へと応じる。
「よろしく、お願いします」
それから、私は、しっかりと、ユミリア・リ・アルテナとして生きた記憶を思い出すことに成功する。あのベッドは魔導具だったのか、横になった瞬間に眠りに落ちて、その後何があったのかは知らない。ただ、それでも、ずっと私の手を握ってくれていたイルト様に、元気づけられたのは変わらない。
「ただいまです。イルト様」
「っ、お帰り。ユミリアっ」
話しかければ、当然のように返事をしてくれるイルト様に、頬が緩むのを感じながら……私は、再び、女神達へと向き直るのだった。
ユミリアちゃん、ふっかーつ!
作者、ダウーン!
……ゆっくり、寝ることにします。
それでは、また!