第二百五十九話 女神とムム
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うーん、キウイジャムを作ってたら、部屋が甘酸っぱくなったけど……この作品は、今のところ、甘さ欠乏状態ですなっ。
それでは、どうぞ!
そこに居たのは、肩までの高さの、緑のふわふわの髪の女性。人懐っこそうな顔立ちの糸目の女性だった。
「ムムっ!? えっ? ど、土下座!?」
「えー、だってー。そこのユミリアちゃんには、とーっても迷惑をかけてますよねー? だから、ダメダメな女神でごめんなさいーって謝らなきゃ」
「お前、は……」
ワタワタする女神に、のんびりとした口調で毒を吐く女性。そして、どうやらその女性こそが、私達を助けてくれた人なのか、イルト様が彼女のことをじっと見ているのに気がつく。
(見るなら、私を見てほしい……じゃなくてっ、あの人が私達を助けた人?)
「イルト様……?」
「……恐らく」
小さく声をかければ、その意図をすぐに理解して、答えをくれる。
「ほらぁ、土下座ですよー。あっ、五体投地とかも良いかもですねー?」
「ムムー! 仮にも上司に向かってその態度は「今日のおやつは、プリンー」……ごめんなさいっ。謝るから、私のプリンも作ってぇぇえっ!!」
(……アレが、私達を助けてくれた人……)
どうやら、女神を食べ物で釣って、自在に操っているらしい女性の様子に、私は、どう声をかけるべきか悩む。
「あ、あのー」
と、そんな中で声をあげたのは、意外にも、ミーシャだった。
「その、ここがどこかとか、お姉様の状態とか、イルト殿下の瘴気はどうなったのかとか、聞きたいことが色々とあるんですけど……」
一斉にミーシャの方へ顔を向けた女神と女性。ミーシャは、それに臆することなく、要望を伝えてくれる。
「そう、だったわね。まずは、色々と話さなきゃいけないことがあるから、先にそれを話してしまいましょう」
いよいよ話が聞けると思っていると、いつの間に取り出したのか、ムムと呼ばれた女性は、一人がけ用のリクライニングチェアに腰掛け……いや、もはや、リラックスモード全開に、背もたれを倒して横になっている。
「ちょっ、ムム! それ、私の家のやつ!」
「女神様ー。この前、私のお家を破壊したのはどなたですかねー?」
「うぐっ」
「私の家丸々と比べればー、椅子の一つや二つ、譲るのは当たり前ですよねー?」
「ぐっ……す、好きになさい」
二人の間で何があったのかは不明だが、このムムという女性とは、ぜひとも仲良くしたいところだ。主に、この女神を虐めるために。
「っ、な、何か、今、寒気が……」
「風邪ですかー? あ、違いますねー? 馬鹿は、風邪引きませんものねー?」
「ば、馬鹿なんかじゃないわよっ!」
そんな女神の反論に、ムムは、ムクリと起き上がる。
「えー? 馬鹿ですよねー? 何度も何度も、愛し子ちゃんを守れず、とうとう魂消滅の危機に瀕して、別世界から愛し子ちゃんを救える魂を呼ぶなんてー」
冷たい声音で告げられた、爆弾発言。それに、私は思わず、女神を注視した。
ムムちゃんは、私のお仲間!(ドSということで)
それでは、また!




