第二十四話 魔の実
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魔の実……ユミリアちゃんは、何に使うんでしょうね?
それでは、どうぞ!
セイと鋼の話をまとめると、主従契約を行えば、私との魔力的な繋がりができ、少しの間だけ、他からの魔力干渉を受けなくなるという。だから、その間にこの危険地帯を脱してしまおうというのが二人の考えであったらしい。ただ、予想外に私の魔力が多かったせいで、存在進化までしてしまったらしい。しかし……。
「しょんにゃこちょにょちゃめにけいやくしゅりゅにょは、ちがうちょおもうにょっ(そんなことのために契約するのは、違うと思うのっ)」
主従契約を結んだ以上、セイと鋼は私の命令に逆らえなくなる。そんな二人に圧倒的に不利な契約を結んでしまったというのは、申し訳ないし悲しい。
「あー、別に、ユミ、リアのためなんかじゃ……」
「ユミリアのために、ぼく、頑張るっ!」
顔を赤くしてそっぽを向くイケメンと、尻尾をフリフリ、意気込む鋼。
(……あれ? 深刻に考えてるの、私だけ?)
二人の空気はとても軽い。主従契約を結んだ以上、私の命令が絶対になってしまうというのに、全く問題視している様子がない。
「そ、それよりっ、ここから脱出するのが先でしょっ」
「……みゅう……あちょで、みっちりおはにゃし、にゃにょっ(……みゅう……後で、みっちりお話、なのっ)」
セイの言い分も理解できる私は、ひとまずはセイの言葉に従うことにする。これでも、元はできる大学生なのだ。
「……まじゅは、まにょみにょさいしゅにゃにょ(まずは、魔の実の採取なの)」
見渡す限り、艶々と実っている青い木の実。実は、この魔の実は、上級魔力ポーションの材料として有能な素材であり、万能薬の素材でもある。しかし、その場に居ると常に魔力が削られるため、採取難易度はとても高い。私も、こんなことがなければ、すぐに採取することはなかっただろう。そして、何よりも……。
「まにょみ、ちゃべちぇみちゃかっちゃにょ(魔の実、食べてみたかったの)」
魔の実は、高級食材の一つでもあるそれは、とても美味しいのだということだけ、ゲームを通して知っていた。ただし、そのままで食べることはできないため、少し手を加える必要はあるが……私の力ならば、それも容易い。
「えっ……あれを、食べる、の?」
「みゅっ」
「…………やっぱり、人間、すごい」
何やらセイが遠い目をしているが、もちろん、私はセイ達にもご馳走する気満々である。
「なら、ぼくがたくさん、採ってきてあげるっ」
魔の実を私が求めていると分かるや否や、鋼は尻尾をブンブンと振って、素早く森の中に飛び込むのだった。
食べられると聞いた途端、鋼の尻尾がブンブンと……。
ユミリアちゃんの役に立ちたい忠犬ですな。
それでは、また!