第二百四十四話 素材の在処
ブックマークや感想をありがとうございます。
うぅむ、私の作品は、山あり谷あり(どちらも急勾配)が多い気が……?
それでは、どうぞ!
(うーん……元のユミリアがまとめた素材辞典はかなり役立つけど、そうなると、素材が心許ないかなぁ)
素材の種類自体は数多く揃っているものの、貴重な素材は、やはりその数が少ない。しかも、今回は何度も試作を繰り返すことになるのだから、そういった素材の数も揃えておきたいところだ。
運ばれてきた夕食を食べ終え、ひとまず、ギリア君の姿が戻り、安静にしてもらっていると教えてもらった私は、決意する。
「ミーシャ、ちょっと足りない素材を取りに行きたいんだけど」
しばらく、私の側で話し相手になってくれるらしいミーシャ。眠る前にとミーシャの部屋を訪ね、テーブルにホットミルクをメリーさんに置いてもらった私は、伝わらないと分かりつつもお礼を言って、ミーシャへと向き合う。
「素材ですか? ある程度なら、こちらでも用意できますよ?」
「それなんだけどね。どうにも、私が居なきゃ無理な素材みたいなんだよね」
「どんな素材なんですか?」
「スペースドラゴンの心臓」
「え゛っ」
「の核になってる、変化の核ってやつを、百個くらい」
つまりは、スペースドラゴンの討伐に行きたいわけだ。
「ちなみに、そのスペースドラゴンって、どこに居るんですか……?」
ミーシャの問いに、私は首をかしげる。『スペース』と言えば、もちろん……。
「宇宙だよ」
そう答えれば、ミーシャはしばらく遠い目をした後、『確認は明日でも良いですか?』と聞いてきた。
「うん、構わないよ。私の方も、どのくらい動けるのか試しておかなきゃだし、どこか広い訓練所とか借りられないかも聞いておいてもらえるかな?」
「分かりました。明日、すぐに確認してきます」
「お願いね。その間、他にできそうな試作は全部試してみるから」
「はい」
そうして、私はミーシャと少し雑談をした後、自分に与えられた部屋へと戻る。広すぎて、落ち着かない部屋ではあるものの、ちゃんと眠らなければ不味いだろう。
(転生して、この世界で生きてきた記憶、か……何で、私は記憶を失ったんだろう?)
そもそも、どんなことがあって、私がこの世界に来たのか分からない。死んだのだとしても、それがいつの頃か判然としない。
(……案外、おばあちゃんって言われる年まで生きてたりして)
どのくらいの記憶がなくなっているのか分からない以上、その可能性だって十分にあり得る。
(……もう、皆に会えない、のかな……)
記憶を失った私の感覚では、つい数時間前に、家族に会っていたのだ。それが、いきなり取り上げられて、冷静でいられるはずもなかった。
「うぅ……」
頭の中がまとまらず、泣きそうになってくる。
と、そんな中、小さな足音が聞こえてきて、私の部屋の前で止まる。
(誰、だろう……?)
すでに、誰もが寝静まっているような時間。枕を抱き締めてじっとしていれば、外はすっかり暗くなっていた。
小さな小さなノックが響き、返事をして良いものか迷っていると、カチャリと扉が開く音がした。
よしよし、ユミリアちゃんの宇宙進出が決定しましたぞ(←もちろん、行かせる気満々)
さて、ユミリアちゃんは、記憶を取り戻せるのか?
スペースドラゴンはちゃんと討伐できるのか?
ついでに、部屋に来たのは誰?
それでは、また!