第百九十八話 クリスタルロード攻略9(セイ視点)
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クリスタルロード攻略……中々、入り口が開かない……。
それでは、どうぞ!
どうやら、何かを思い出したミーシャ嬢は、必死になって、メリーさんとイルト殿下を止める。
「その聖竜が鍵なんですっ! 聖竜が居なかったら、扉は開かれないんですっ!」
そんな必死の説得に、二人は聖竜討伐を取り止めにしてくれたのか、ひとまず、そこで立ち止まったままになる。
「ミーシャ嬢、詳しく」
「はいっ!!」
ハイライトの消えた瞳で告げられたミーシャ嬢は、ビクゥッと肩を震わせながらも元気な返事をする。ただし、まだ僕の腕の中だが……。
《うっ、げほっ……た、助かったのか……?》
まずは、聖竜を拘束していた鎖を解くようにミーシャ嬢が進言すれば、イルト殿下もそれに従う。
「私が思い出したのは――――」
そうして、ミーシャ嬢は何かを話し始めようとしたのだが……。
《娘っ、お前が助けてくれたのだなっ? あぁ、やはり、光の眷族は清い心を持っているっ!》
「えっ? いや、あの」
《ここは、是非とも礼をせねばなっ。お前には、特別に我の加護を与えようぞ》
「えっ?」
ミーシャ嬢が口を挟む間もなく、ミーシャ嬢に向かって光の玉が一直線に落ちてきて、その胸にスゥッと吸い込まれる。そして、その直後だった。
リーン、リリーン……。
高く、透き通る鈴の音が、どこからともなく響き渡る。
「な、に? この、音は……?」
最初は小さかった音。それは、どんどんその音量を増し、どんどん、頭の奥を痺れさせる。
《ぬぉっ、何だっ、これはっ!》
マルディックの叫びに、顔を上げれば、そこかしこの水晶の壁がオーロラのように輝き、次第に地響きを立て始める。
「こ、心の準備が……いいえっ、女は度胸よっ、ミーシャ!!」
何が起こりつつあるのかなど分からない。しかし、恐らくはそれが何か、ミーシャ嬢は知っていて、準備を始めたらしいことに気づき、問いかける。
「僕達はどうすれば良いっ?」
地響きの音がうるさいため、半ば叫ぶように告げると、ミーシャ嬢はハッとしたように息を呑み、すぐにその瞳を真剣なものに変えて声をあげる。
「自分の身を守ることを優先にっ! でも、誰か、聖竜も守って!!」
そんな叫びを理解した僕達は、瞬時にミーシャ嬢の指示に従い……直後、天井の水晶が剥がれ、大量の水が流れ込んでくる様子を呆然と見つめることになるのだった。
よしっ、トラブル発生!
これで、入り口が開く……かな?
それでは、また!