第百九十三話 クリスタルロード攻略4(メリー視点)
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ミーシャ様があの竜を見つけた後、私達はそれぞれに竜の側に魔法を近づけてみたものの、どういうわけか、それが吸収されることなどなかった。つまりは、ミーシャ様の魔法にのみ、何か反応する材料があるのだろうと結論づけて、ミーシャ様を竜の近くに運べば何か分かるかもしれないということで、ミーシャ様をセイ殿に運んでもらったのだが……。
「ひぃぃぃいっ!! い、いやっ、高いっ、高いからぁぁあっ!!」
「そういえば、ミーシャ様が高所恐怖症なのを忘れておりました」
私達の話を聞いていなかったらしいミーシャ様へ説明を怠った責任は、私達全員にあったが、私達の心はただ一人、ユミリアお嬢様のことにのみ傾いていたため、どうしても細かいところにまで配慮が行き渡らない状態でもあった。
「あ、気絶した」
コウ様の言葉で、私達はミーシャ様が意識を失ったことに気づくも、どうしようもなかった。
「なぁ、メリーさんよぉ? ミーシャ嬢は、何で高いところがここまでダメなんだ?」
「さぁ、私も詳しくは。ただ、以前、ユミリアお嬢様から伺った話では、ユミリアお嬢様が出会ったばかりのミーシャ様に何かをなさったとのことでしたが……」
ミーシャ様が気絶したことに気づきながらも、ついでなのか、竜の口の中を覗こうとして羽ばたくセイ殿を見ながら、思い出したことを告げれば、ローランは納得したらしい。
「まぁ、ユミリアなら、仕方ないよな」
「えぇ、そうですね。お嬢様はバレていないと思っておいでですが、幼い頃、しっかりと私を騙してくれましたしね」
優しい優しいユミリアお嬢様。ユミリアお嬢様は、かつて、私がポック病によって目が見えなくなった時、私が周囲の使用人の反感を買わないように、運ぶ食事の匂いを誤魔化したり、軽い洗脳に近い魔法で、一人で食事を摂らせることに疑問を抱かないようにさせたりしていた。ポック病が治り、害悪となる使用人を追い出した後に、そのユミリアお嬢様の洗脳は解けた。そして、病に侵されていたとはいえ、あまりにもお粗末な自分の対応に頭を抱えながら原因を探った結果、お嬢様の仕業だということが判明したのだった。
「あー、そこら辺はよく知らねぇが、ユミリア様は、メリーさんを守ろうとしたんじゃねぇのか?」
「えぇ、それは分かっております。ですが、私は、ユミリアお嬢様を守れる存在になりたかったのです。ですから、今のチャンスを逃すつもりはありません」
何がなんでも、ユミリアお嬢様のために動ける者となりたい。命も心も救ってくれた恩人の恩に報いるため、そして何より、ユミリアお嬢様のことが大好きだから、力になりたかった。
「なら、これで少しは返せるな」
「えぇ、そのつもりです」
そうして、竜の方へと視線を向けた直後。
竜の目が、動いた気がした…………。
ミーシャちゃん、実はあの出会い方のせいで……(笑)
それでは、また!