第十八話 報酬
ブックマークや感想をありがとうございます。
今回は、ちょっと話が飛んだように思えるかもしれませんが、こういう仕様です。
それでは、どうぞ!
鋼と話をつけた私は、セイを連れて泉に戻る。本来の目的は、フェンリル打倒などではなく、妖精の魔力水が目的なのだから当然だ。
泉に戻って、何やらグッタリした様子のセイに、私はすぐさま要求する。
「しぇいっ、やくちょくにゃにょ。よーちぇーにょまりょくしゅいをくだしゃいっ(セイ、約束なの。妖精の魔力水をくださいっ)」
『あー、うん。それを聞こうと思ってたんだけど……何で、妖精の魔力水? 他にもほしい素材はあったんじゃないの?』
「みゅ? だって、よーちぇーにょまりょくしゅいは、ここでしかちぇにはいりゃにゃいかりゃ……(みゅ? だって、妖精の魔力水は、ここでしか手に入らないから……)」
『……まさか、それ、本気で言ってる?』
「みゅ?」
疑うような眼差しに、私は疑問符ばかりを浮かべる。しかし、それが逆に、セイの確信を深めることになったようで、セイはなぜか先程よりもグッタリと脱力する。
『……妖精の魔力水は、お前なら普通に作れるだろう?』
「みゅう!?」
妖精の魔力水のレシピなど、記憶にない。妖精の魔力水は、ここでしか採れない貴重な素材だったはずなのだ。
『お前、魔力だけを操ることができるだろう? 属性を纏わせない魔力を普通の水に注げば、妖精の魔力水の完成だ』
「みゅうぅぅうっ!?」
そんなに、簡単に作れるなんて、思いもしなかった私は、驚愕のあまり固まる。
『知らなかったのか……いや、途中から、薄々そうじゃないかとは思ってたけど……』
セイが何か呟いているが、私はそれどころではない。
(『コツ生』にないレシピが、存在する?)
よくよく考えれば、たかが生産ゲームで全ての生産過程が描かれているわけがない。つまりは、私の知らないレシピが多く存在するということだ。
(こ、これは……燃えるっ!)
生産ゲーム魂に火がついた瞬間だった。
「ユミリア? 楽しいことでもあった?」
「みゅっ、しょうにゃにょっ! まだまだちらにゃいこちょがいっぱいってわかっちゃにょっ! (みゅっ、そうなのっ! まだまだ知らないことがいっぱいって分かったのっ!)」
自分でも、目が輝いているだろうことを理解しながら鋼に話せば、何やら考え込んでいたセイが顔を上げる。
『……よしっ、じゃあ、妖精の魔力水に加えて、青石をやるよっ』
「みゅっ!? ほんちょ!? (みゅっ!? ほんと!?)」
『妖精の魔力水なんて、この森ではありふれた素材だしな。ほら、持ってけ』
そう言うや否や、セイは何もない空間から瓶詰めされた妖精の魔力水と青石を出して渡してくれる。どちらも、万能薬の素材で、入手難易度が高い素材だ。
「ありあちょーにゃにょっ! (ありがとうなのっ!)」
『ふんっ、と、とりあえず、それ持って帰れば? 待ってる奴が居るんだろう?』
「みゅっ!? しょうだっちゃにょっ! ほんちょに、ありあちょーっ(みゅっ!? そうだったのっ! 本当に、ありがとうっ)」
もうそろそろ、帰らなければならない時間が差し迫っている。名残惜しくはあるが、今日はもう、セイとはお別れだ。私は、そっぽを向いたままのセイに、思いっきり声をかける。
「まちゃねっ! しょれじゃあ、こうっ、ちゅかまっちぇ! ちぇんいっ(またねっ! それじゃあ、鋼っ、掴まって! 転移!)」
そうして、私は鋼とともに、あの屋敷に戻ってきた。
屋敷に帰還したユミリアちゃん。
鋼は一緒ですよ~。
それでは、また!