表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢の生産ライフ  作者: 星宮歌
第二章 少女期 瘴気編
186/412

第百八十五話 とある女王の転機(ミルラス視点)

ブックマークや感想をありがとうございます。


本日二話目!


それでは、どうぞ!

 妾、ミルラス・リリューは、もしかしたら、ずっと、ずっと、退屈していたのかもしれない。



「ミル、これに魔力を注いで?」


「分かったのじゃっ」


「ミル、今日のご飯になるもの、調達よろしく」


「わ、分かったのじゃ」


「ミル、そっちの木を支えておいて」


「わ、分かっぬぉぉおっ、あ、危なかったのじゃ……」



 魔力を注ぐくらい、大したことではない。そう思えば、動けなくなるくらいに根こそぎ魔力を吸収され、夢魔の森を離れたどこか分からない場所では、獲物を狩るどころか、餌にされかけ、主様が軽々と持っていた木を支えようとすれば、そのあまりの重さに押し潰されそうになり……なんというか、全体的に苦労の連続で、死にそうだった。



「あ、主様。これは、妾に?」


「みゅ? そうだよ? 夢魔も、普通の食事なら食べられるでしょう?」



 ボロッボロになりながら、どうにか主様の要求をこなしていき、迎えた晩餐の時。正直、妾は自分に食事が用意されるとは思っていなかった。何せ、妾は夢魔。人間の食事を食べられないわけではないものの、主食は人間の悪夢を見る時の感情エネルギー。獲物の夢の中に入り込んで、悪夢を見せて、衰弱死させるのが、妾達のあり方だ。そして今は、主様から送られる魔力のみで生きていける状態。つまりは、食事の必要など欠片もないのだ。

 差し出された椀を受け取って、妾は主様が『みそしる』と呼ぶ泥のような色のスープを眺める。



(むぅ? 人間は、こんな色のものでも食べるのかえ? ……不味くとも、食べぬという選択肢はないのであろうな)



 初めて会った瞬間から、何やら尋常ならざる敵意をみせてきた主様。もしかしたら、この先、妾は奴隷として、虐げられながら生きることしかできぬのやもしれない。そう考えると憂鬱ではあったが、それでも、主様からいただいたものを口にしないわけにはいかない。



(覚悟を決めるのじゃっ)



 隷属することを決めた時から、妾に権利という権利はなくなった。女王としてかしずかれていたとしても……いや、むしろ、女王であるからこそ、隷属した者の末路はよく分かっている。



「さぁ、どうぞ?」



 『みそしる』の他に、何やら酸っぱい匂いがする『すのもの』、生の魚を切った『さしみ』などが危険そうだと思いながらも、妾は、思いきって『みそしる』を一口飲んでみる。



「…………旨い、のじゃ?」


「みゅ、美味しくできたの。そっちのお刺身は、その黒いソース、醤油って言うんだけど、それをつけて食べてね? あ、あと、お好みでわさびも用意してるけど、まずは醤油で食べてみて」



 言われるがままに、それにも口をつければ、生の魚がこんなにも美味しいものだったのかと衝撃を受ける。他にも、『すのもの』や『ちくぜんに』などの『わしょく』と呼ばれるカテゴリーの食事をいただいたが、どれもこれも素晴らしいものだった。



「これからもよろしくね? ミル」



 その日から、妾に食事という楽しみが増え、主様との充実した……いや、わりと、かなり、危険な毎日を送ることになる。それは、退屈とは無縁の、楽しい楽しい日々だった。

ミルちゃんが、ユミリアちゃんに餌付けされたっ(笑)


好みは和食の模様です。


狐キャラだったら、油揚げを好物にしてあげたんだけどなぁ(笑)


それでは、また!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] アイアンメイデン……なんて面白可笑しい拷問ガールに…やったら楽しいやられたら地獄なコショコショマッシーン爆誕(笑) 夢魔って頭脳職(って言って良いのか)でほ?肉体労働は…あんまり得意そうで…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ