第百八十四話 とある女王の不幸2
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本日は、二話連続更新ですっ。
それでは、どうぞ!
(みゅう、やっぱり、そう簡単なことじゃなかった、よね?)
八つ当たりのためと、イルト様達のために、夢魔の女王を討伐することに決めた私だったものの、現実がそう上手くいくはずもなかった。
夢魔の女王の姿は、人のそれと変わらない。そして、人を殺したことのない私に、彼女の討伐はあまりにも荷が重かった。結果として、私がやることといえば、夢魔を拷問して、精神に介入する方法を教えてもらうことのみだったりする。
「ひぃっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ」
「話す気になった?」
特大のメロンをポヨンポヨンさせて悶絶する女王を見るのは、正直飽きた。と、いうより、ポヨンポヨンと揺れるそれを見ていると、こちらへのダメージの方が酷い。
「……もいだ方が良かったかな?」
じっと、二つのメロンを見て、小さく呟けば女王は身の危険を感じたのか、ビクッと震える。
「む、無理、無理なのじゃ。人の身で、精神への介入は、不可能なのじゃ」
「? どういう意味?」
鳥の羽根やら、つやつやさらさらな毛の束やらでくすぐり続けていた間にも、確かに女王は『無理』だと言い続けていた。しかし、それは『もう耐えられない』という意味でとっていた私は、どうも違う様子の女王の発言に、ようやくまともに聞き返す。
「ひ、人は、扱える魔力も、魔法も、限りがあるのじゃ。精神に介入する魔法は、高度かつ、恐ろしく燃費が悪いのじゃ。だから、人が扱えるはずが………………」
顔を真っ赤にして、涙目になっていた女王は不自然なところで言葉を切ると、こちらをまじまじと眺めてくる。
「……お主、人間、か?」
「人間だよ?」
そう答えれば、『あり得ない』だとか、『混血か?』とか、色々と失礼なことを聞こえないと思って小声で呟く女王。
「くすぐり道具、第二段。全身くすぐり魔導具「やめるのじゃあぁっ!!」みゅ?」
アイアンメイデンを原点として作成した魔導具。鉄の外装の内側に、大量の細い毛束を敷き詰めて、魔力を流せば、顔以外が閉じ込められ、その毛束で絶妙な加減でくすぐられ続けるという代物をストレージから出せば、女王は悲鳴じみた声で拒絶する。
「頼む、やめてほしいのじゃっ。これ、この通り。どうかっ、どうかぁっ!!」
完全に泣きべそをかきながら懇願する女王に、私は考え込む。
「な、なんでもするのじゃっ! 何なら、隷属の契約を交わすのも構わないのじゃっ! だからっ、どうか、どうかぁあっ!!」
「みゅ、分かったの。じゃあ、ちゃんと、契約してね?」
「あ、ありがとうなのじゃっ! ありがとうなのじゃあっ!」
そうして、私は女王と……ミルラス・リリューとの契約を果たし、以降、こき使うことにするのだった。
さすがに、八つ当たりで殺すのはダメだよなぁ、というわけで、下僕ゲット!
それでは、また!