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悪役令嬢の生産ライフ  作者: 星宮歌
第二章 少女期 瘴気編
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第百六十三話 お姉様との出会い1(ミーシャ視点)

ブックマークや感想をありがとうございます。


今回、ちょっと残酷な描写がありますので、ご注意を。


それでは、どうぞ!

 お姉様との出会いは、とても、鮮烈で、美しくて、恐ろしいものだった。


 当時の私は五歳。何の因果か、誕生日の夜、寝て起きたら、前世の記憶を思い出していた私は、まだ、この世界が『モフ恋』の世界だなんて気づいてもいなかった。

 貧しい母子家庭で、毎日毎日、食うのもやっとという生活を送っていた私は、『モフ恋』のヒロインとして天真爛漫に……なんて、育つはずがなかった。



「きょうは、これだけかぁ……」



 普通、たった五歳の子供が、まともに働けるはずなどない。たとえ前世の記憶があるにしても、その体力は五歳児のものであり、長期間の労働に耐えられるものではない。それでも、私は、前世の記憶があるからこそ、様々な人と交渉し、ちょっとした雑用と引き換えに、少しの駄賃をもらうという生活を送っていた。もちろん、母も働いてはいるのだが、女手だけで子供を育てるのは相当に難しい。前世の日本という国でもそうだったのだから、ここでは、さらに大変だ。必死に必死に節約して、必死に必死にお金を貯めようとしても、結局は、日々の生活でそのほとんどが消え去る。

 小さな手に、銅貨を五枚ほどきつく握った私は、ため息を押し殺して自宅を目指す。母はきっと、まだ仕事で、母が帰ってくるまで、私は少しでも、家の手伝いになることをしようと考えながら、複雑な道を進む。そして……。



「おぅ、ガキがこんなところで歩いてやがるぜ?」


「ひひっ、可愛いねぇ。ぼく? それともお嬢ちゃんかなぁ?」


「あー、おめぇの趣味は、どんなに長い付き合いでも理解できそうにないわ」



 スラム街の中にある家を目指していた私は、突如として角から曲がってきた三人の男達を前に青ざめる。


 一人は、頭が所々禿げていて、異臭を放つ目付きの悪い男。一人は、気色の悪い欲望を瞳にたたえた、歯がボロボロに欠けた男。一人は、顔の半分に火傷の跡がある昏い目の男。

 この三人のうちの一人にでも会えば、すぐに悲鳴をあげるだろうと思えるのに、それが三人だ。私も、例外なく悲鳴をあげて逃げ出した。



「ひひっ、待てよぉ。たーっぷり可愛がってあげるからさぁ」



 しかも、そんな声が聞こえてきて、私は本当に死に物狂いで逃げ続ける。いつもなら安全な道。しかし、今日に限ってはそんなことはなく、おぞましい男達が、どんどん迫ってくる。捕まったらどうなるかなど、絶対に考えたくない。それなのに、私の歩幅は小さくて、体力も少なくて……あっという間に、腕を掴まれ、壁に叩きつけられた。



「あ、がっ」


「ひひっ、ひひひひひっ、つーかまーえたっ」


「ゃ……ぃや……」



 ギョロリとした目が、愉悦をたたえる。背後に見える男達も、嗜虐の瞳で私を見つめる。



「た、すけ……」


(どうして、私が、こんな目に……)



 悪いことなんて、何一つしてない。ただただ、今日を生きることに必死だっただけ。それなのに、今、この瞬間、死よりもおぞましいことが始まろうとしているのを察知して、掴まれた腕が痛くても、打ち付けた背中が痛くても、泣き叫んで、がむしゃらに暴れる。



「いやっ、いやぁぁぁあっ!! だれかっ、だれかたすけてぇぇぇえっ!!」



 そんな反応が、男達を喜ばせるだけだとしても、私は、暴れずにはいられなかった。



「助けなんてこねぇよっ。ここは、スラムなんだぜ?」


「いぎっ」



 髪を掴まれて、無理矢理引っ張られた私はそのまま、地面に顔面を叩きつけられそうになって……。



「やめるにょ!!」



 そこに、猫耳美幼女が現れたのだった。

ミーシャちゃんとユミリアちゃんの出会い。


ミーシャちゃん側は、随分とハードな環境でしたなっ。


それでは、また!

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― 新着の感想 ―
[一言] 殺っておしまいくだされ!…ユミちゃんの下僕たちよ!←だってユミちゃんがあんなのに関わったら穢れるじゃまいか!!( ・`д・´) ミーシャちゃんがお姉様と懐くのに物凄く納得しました…ユミちゃ…
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