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悪役令嬢の生産ライフ  作者: 星宮歌
第一章 幼少期編
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第十五話 フェンリル

ブックマークや感想をありがとうございます。


今回は……ちょっと作者が暴走したかも?


それでは、どうぞ!

 強力な装備のまま、トテトテと歩けば、ビックリするくらいに周りの景色は移り変わっていく。それだけ、この装備の性能が良くて、移動速度が早くなっているということなのだが……私のサーチには、その速度に付いてくる存在が映っていた。



(心配してくれてる、のかな?)



 時折立ち止まって、フェンリルを捜すかのようにキョロキョロと辺りを見渡せば、それは素早く木の影に隠れる。そう、私を尾行しているのは、セイだった。



(確か、セイはその性質上、妖精達から嫌われてるんだった、よね)



 『コツ生』の設定の中に、セイのこともチラリと存在していたのを、私は頑張って思い出す。



(水と光の妖精の間に生まれたセイは、莫大な魔力を持っていて、その制御ができずに様々なものを破壊する時期が長かった、だったっけ?)



 そのせいで、すっかり彼は妖精達の嫌われ者になってしまったというわけで、セイ本人は、森の泉を拠点としてそこから動かなくなってしまうのだ。



(でも、性根は優しいんだよね)



 多少ひねくれた言動はするものの、その心は人一倍優しいものだ。常に光の魔法で森の異常がないかを探り、それをどうにか解決しようと奔走するのがセイなのだ。ただし、そこで他の妖精に出会う度に心ない言葉をぶつけられて、心を閉ざしてしまう。そんな場所に現れるのがプレイヤーで、セイは、やはり森が心配で、集めた素材と引き換えに様々な試練を課すようになるのだ。

 チラチラと振り向きざまに視界の端に映った淡い光は、やはりセイのものなのだろう。セイが心配してくれているらしいことを微笑ましく思いながら、私はズンズンと進み……足を止める。



「みちゅけちゃ(見つけた)」



 サーチに、フェンリルの反応が映りこんだ。レーダーのように見えるサーチの中にある赤い点。それこそが、フェンリルの反応だ。私は、三時の方向に存在するそれに向かって、一気に駆け出す。

 それに驚いたらしいセイが飛び出す様子が少しだけ見えたが、これを逃すことはできない。一分もすれば、フェンリルの姿が見えるところまで来られた。



「グルルルルルゥ」



 何が気に入らないのか、辺りを凍りづけにしながら唸るフェンリル。人間の大人ですら簡単にガブリといけそうなほどの口を持つ大きな白銀の狼。血走った赤い目を持つ狼。それを目の前に、私は一度立ち止まって観察した後、二つの魔石を手に、一気にフェンリルの目の前に躍り出た。



『おいっ!』

「あいちゅはんまーっ(アイスハンマーっ)」


「ぎゃいんっ!」



 セイの声と私の声が重なる。そして、その直後、フェンリルの鼻っ柱に決まった氷のハンマーで、フェンリルが吹き飛ぶ。



「あいちゅはんまー、あいちゅはんまー、あいちゅはんまー、あいちゅはんまー、あいちゅはんまーっ! (アイスハンマー、アイスハンマー、アイスハンマー、アイスハンマー、アイスハンマーっ!)」


「ぎゃんっ、ぎゃんっ、ぎゅあんっ、ぎゃいんっ、ぎゃっ」



 鼻に恨みでもあるのかというほどに、的確に、私は鼻を攻撃し続ける。



『えっ? えぇっ!?』


「はにゃふっくっ(鼻フックっ)」



 そして、止めは氷の造形魔法による鼻フック。二本の細長い氷の棒がグニャリと曲がり、フェンリルの鼻を持ち上げる。



「ぐぎゃ…………」


『う、うわぁ……』



 そして、残ったのは、泡を吹いて沈黙するフェンリルと、その光景にドン引きするセイの姿だった。

いや、別に、フェンリルの鼻に恨みはないんですよ?


ただ、ね?


かなーり、嫌な攻撃だよなぁと思っていたら、指が動いて勝手に打ち込んでいたと言いますか……。


ま、まぁ、ユミリアちゃんが無事なので、結果オーライ!


それでは、また!

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