第百四十一話 敵の正体
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……眠いので、とりあえず、どうぞ!
メリーに淹れてもらったココアを飲みながら、私は今回のセイ達が気絶させられた件と、イルト王子のことは関係があるのではないかと考えを巡らせる。そして、そこから導き出される答えは……。
「ユミリアお嬢様、どうか、休まれてください。もう、ずっと、その体勢のままですよ?」
「? メリー?」
メリーが何を言っているのか分からず、私は手元のココアを一口飲んで……。
「みゅう?」
「ココアは、淹れ直しましょうか?」
なぜか、ココアが冷めている。いや、心配そうなメリーの顔を見れば、私はメリーからココアを受け取って、少し飲んだ後はずっと考えに耽っていたのだろう。
「ごめんなさい。メリー」
「いいえ、このくらいのこと、なんの労力にもなりませんよ」
せっかくのココアを冷ましてしまったのはもちろん、考えに没頭するあまり、メリーを無視していたであろう時間のことも謝ったつもりなのだが、メリーは優しく微笑むばかりだ。
「……セイ達は、ちゃんと休んだのかな?」
「はい、ちゃんと寝かしつけて参りましたよ」
「?? ……そう」
『部屋に戻った』ではなく、『寝かしつけた』という表現に、思うところがないわけではないが、それに突っ込みを入れるのは危険だと本能的に判断して、軽い返事だけを返す。
「ユミリアお嬢様は、まだ、眠くはありませんか?」
「……どうしても、イルト様のことを考えてしまって……」
現在、イルト王子の状況については、屋敷の数人が知るところとなっている。具体的には、お継母様、セイ、鋼、ローラン、メリー、ムトの六人だ。だから、メリーの前では、イルト王子のことも話せる。
「恐らく、イルト様をあの状況に追いやった元凶が居るとは思うの。でも、それがセイ達を気絶させられるだけの実力者となると、全く思い浮かばなくて……」
『影の耳』達で情報を集めてはみたものの、そのどれもが、セイ達に敵うほどの存在とは思えない。
「考えるのは良いことではありますが、眠らないのは美容の大敵ですよ? そんな魔王のような存在については置いておいて「それだっ!」……? ユミリアお嬢様?」
メリーの何気ない言葉。しかし、その言葉の中に、セイ達を気絶させられる実力を持ちそうな存在が挙がっていた。
「魔王なら、セイ達に対抗できるかもしれないっ」
『モフ恋』では、世界を滅ぼす災厄として描かれていた魔王。もし、そいつが私達に干渉できる状態だったのだとするなら、セイ達が気絶させられたことにも納得がいく。
「……もしかして、浄化魔法を使えば、イルト様を助けられる?」
そして、その仮定を元に、私はイルト王子を救う案を見出だすのだった。
さぁ、イルト君救出なるか!?
それでは、また!