第百十三話 規格外
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今回は、ユミリアちゃんに常識を説こうの回(笑)
それでは、どうぞ!
お父様達が復活して、最初に言われたのが、『なんてものを作ったんだ』であった。ちなみに、陛下は頬を引きつらせているし、王妃様は……まだ固まったままだ。
「ガイアス、そこは、『そんなものを作れるのか?』となるはずだと思うが……?」
「いいえ、陛下。ユミリアが『作った』と言うのなら、本当に作ったということです。その機能に疑問を抱けば、真実だと分かった際のダメージが大きいっ」
なぜか、懸命に力説するお父様。その様子にお継母様も密かにうんうんとうなずいている。しかし、私としては、そんなに不思議なものを作ってしまった覚えはない。むしろ、これからのことを考えれば、絶対に必要な代物のはずだ。
「ユミリアちゃん、呪術を解く方法は確かに存在するわ。前回も、私達の呪術を解くために、魔導具を作ったことも知っています。でも、ユミリアちゃんの言葉を聞いていると、どんな呪いなのかはっきりしないものにでも使用できるように聞こえるのよ」
「みゅ? 実際、その通りですっ」
昔、お父様やお継母様が私の本当のお母様に呪われていた時、私は、その呪いの内容を理解した上で、それぞれに専用の魔導具を作って渡していた。しかし、あれから私も成長したのだ。どんな呪いにも対応できる、万能型解呪魔導具が作れるようになるのは自然なことであろう。
お腹を押さえるお父様に、どこか遠い目をするお継母様。頬を引きつらせたまま沈黙する陛下に、未だに起動する兆しをみせない王妃様。
(……あれ? 私、何かやらかした?)
特に不思議なことはしていないつもりなのだが、周囲の反応を見る限り、不安ばかりが募る。
「みゅう……」
「陛下、このことは、他言無用に願います」
「分かっている。ことがことだからな」
そうして、私を置いて、お父様と陛下が何やら私の魔導具の内容を洩らさないように取り決めをしてしまう。
「ユミリアちゃん。呪術が厄介だと言われる所以は、呪術を解ける者が少ないのもあるけど、そもそも呪術そのものに対する研究が進んでいないというのもあるの。だから……ユミリアちゃんの作った魔導具は、規格外としか言いようがないわ」
私の様子を見かねたらしいお継母様の言葉によって、私はようやく、この魔導具がどのような存在であるのかを理解する。つまりは……。
「国宝級に貴重、とか?」
「そうです」
いつの間にか復活していた王妃様が、いつもより三割くらい力のない笑みで私の言葉を肯定する。
「陛下。もちろん、魔導具の内容を洩らさないようにすることも重要ですが……ユミリア嬢に常識を教えることも、早急に行わなければならないと具申します」
そして、王妃様のそのお言葉に、陛下達は私をじっと見つめ、大きくうなずくのだった。
ユミリアちゃんへの教育が決定した今日この頃……。
その程度で、修正できるのだろうか?
それでは、また!