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1 濁った視界

 ボランティア活動をしている僕の母親が、ホームレス集団にレイプ、輪姦されたという事実を知ったのは、一ヶ月ほど前の事だった。僕は、怒り心頭となりホームレス集団に復讐する決意を固めた。


 これは単なる復讐劇なんかじゃあなかった。もっと根の深い、複雑な要素が絡み合っていて、ちょっとやそっとじゃ見抜けないような恐ろしい真実が隠されていたなんて、最初の頃は皆目見当がつかなかった。事件後、病院に入院した母親は、人が変わったように何も喋らなくなり、その様子は僕の目から見ても何かを隠しているように感じた。


「お母さんのことですか……」

 ボランティア団体の代表を務める蒲池悟朗は、僕が母の事で事務所を訪ねる度に何かめんどくさそうな、どこか焦点の合っていない眼で少し動揺しているような素振りを見せながら奇妙な対応を続けた。

「ええ、ですから何度も言っているようにそのホームレス集団の居場所を教えてください。これは許し難い卑劣な犯罪です。息子として何も動かないわけにはいきません!」


「大和、やまと君と言ったね?君はまだ真実を知らないんだよ。どうしてお母さんが彼らに集団で……スマン。聞きたくないよな?」

 蒲池悟朗は、椅子からゆっくりと立ち上がって冷蔵庫に向かった。冷たいものでも出してくれるのだろう。


「大和君。我々も今回の件については介入しずらくてね。一応警察に任せているけど警察もあまりあてにはならないと思いますよ……」


「蒲池さん!一体何があったというのですか!?何故誰も裁きを下せないのですか?」


「……」


「蒲池さん!!」



 これから数か月間に渡って僕は、この事件の真相をたった一人で解明しなければならなくなった。それは、長い様な短い様な?薄っぺらいんだか濃密すぎるのか?良く分からない日々の連続だった。とにかく僕は、強大な見えない相手に立ち向かっていかなければならない。例えそれが、あまりにも無慈悲で残虐な結末を迎えるとしても……

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