表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

僕のニャンコちゃん〜ニャンコとケイヤのペットな関係〜

「素敵な方と踊れて夢のよう………にゃん」

「僕も君みたいな子猫ちゃんと踊れて嬉しいよ。黒髪黒目なんて珍しいね」

「………うふ、にゃん」


 目の前でニャンコ言葉の女と婚約者が華麗なダンスを見せている。

  結構人が集まっている夜会でいい度胸だ。

  最近、婚約者がいる男に声をかけまくっている第7貴族の女がいる、とは聞いていた。


「へぇ、なわばり荒らしね」


  まあ、私も低めの第6貴族。

  そこから頑張って今の身分の高い婚約者を狩った。奪われやしない。

  そこそこかわいいからって、それじゃ無理ね。

  私は2人のダンスが終わる頃合いで大きく息を吸った。


「寂しいにゃんにゃん。ニャンコ以外と踊っちゃヤなの!」


  軽く握ったこぶしを両手ともアゴの下に。目は大きく見開いてまばたき多めに。


「おや………? ごめんね。僕の子猫ちゃん」


  麗しの私の婚約者が縄張り荒らしの女から手を放す。こちらを見て満面の笑みを浮かべた。


「ニャンコだけでしょ~? ケイヤ様~」


  私が言えば女も、


「こっちのニャンコも見て欲しい…にゃん」


  と張り合ってくる。

  ケイヤ様は面白そうに私達2人を見比べて、軽くうなづいた。


「うん、君は黒髪が珍しいけどね。僕はニャンコだけでいいかな。ごめんね、子猫ちゃん」

「そ、そんな。どうすれば結婚ルートにいけるの………愛の女神は」


  女が結婚とかいう大それた事をつぶやいた。

  そのまま真っ青になって、力なくふらふらと会場の端に歩いていく。他の貴族の方達がそれとなく避けて道を開けた。

  勝ったわね。

  ま、中途半端な事じゃ私には勝てないわ。


「何だか妙に強引な子だったなあ、本当にごめんね。僕のニャンコちゃん」

「ケイヤ様、だぁい好きっ」

「僕もだよ」


  ケイヤ様は笑って頭を撫でてくれる。

  私の金茶色のふわふわした髪が好きなのだ。

  昔飼っていた猫と毛並みと色が同じだから。

  もちろん、元はライトグレーの髪を染めたの。ストレートの髪を編み込んで癖もつけてる。目の色はブルーでセーフ。


「僕のかわいいニャンコちゃん」

「にゃーん………」


  名前もニャンコに変えたのよ。

  ケイヤ様………身分が高くて綺麗なお顔、そしてとても繊細なお方。昔飼ってたかわいい猫が死んでしまって落ち込んでいた。

  あなたの笑顔が見られるなら、私は猫にだってなるわ。



 

  ニャンコ………元はエリザベータは、僕に猫の仕草をして微笑んだ。

  小さい時から僕だけを見ていた女の子。

  だいぶ昔、僕は大事な猫が死んで塞ぎこんでいた。

  そんな僕に、エリザベータは髪を染め名を変えて猫の代わりをしてくれた。

  情けない僕。

  身分と顔以外には何もない。

  エリザベータは僕に笑っていて欲しいみたいだ。僕はエリザベータさえいれば笑顔でいられる。

  時々思う。

  僕は自分に自信がないから、エリザベータを閉じ込めておきたい。

  本当の家猫のように部屋に閉じ込めたい。

  僕が餌をあげて毛づくろいをしてお風呂にいれてあげたい。

  エリザベータの目に僕しか映したくない。

  大好き、ニャンコそしてエリザベータ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ