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第二章 現実との境界線

            第二章  現実との境界線


 俺は今六本木の超高層ビルにいる。なんでこんな所にいるかというと、それは昨日の

夕方にまでさかのぼる・・・。

「いいから、あなたも来て。」

そう、昨日のあの出来事はもちろん夢なわけなく、あれだけの運動神経と戦闘を見せたあの

転校生、如月 由奈はそう言った。

「お、おれも!?」

「もちろん。秘密を知ったんだから」

俺はこのまま何事もなかったかのように過ごしていこうと思ってた。でもどうやら如月は

それを許してくれないらしい・・・。

「お、おれをどうするんだよ・・・?」

「別に大丈夫よ。なにもとって食おうってわけじゃないんだから」

「・・・・」

「そんなに怖かったの?だらしないわねー」

「だ、だらしないとかそういう問題じゃないだろ!?普通あんなの見たら誰でも

腰抜かすって!!」

「それは、まあそうか、最初だもんねー」

「そうそう、最初だからだ。今度はもう・・・」

そこで俺はある考えにいきついた・・・けど全力で否定したい。

「まあ、これからはもっと大きいのや危ないのと戦うかもね♪」

「・・・・ちょっとまて!?俺はまたあんなのと会うのか!?」

「・・・?あたりまえじゃない」

・・・・ああ、そうなのか。

「・・・・つまり俺の平和な日常は終わったわけな・・・」

「何をいまさら。あなたは私を助けに来た時点で日常から遠ざかっていたんだから」

「はあー・・・」

「あ、でも・・・」

「なんだよ・・・・?」

「その・・助けに来てくれたのは・・・うれしかったかな・・」

「え・・・?」

「あ、ありがとね!」

「あ・・・ああ。」

・・・なんだ、普通に・・可愛いぞ??

「まあ、役にたったかは別だけどね」

・・・前言撤回・・・。

「てゆうかどこまでいくんだよ」

「もうすぐ・・・ついた」

気づくとそこは最上階、45階だった。

「た、高ぇー」

ほら、早く行くよ?」

「あ、ああ・・」

そう言って連れて来られたのは、豪華な社長室のような場所だった。

「如月由奈、戻りました」

「おかえり、由奈、そしてようこそ、片桐功名くん・・・」

目の前のイスに座っていたのは、まだ若い20歳くらいの青年だった。

「あんたは・・・」

「僕は非国家組織{機動遊星部隊}通称{K.U.V}のリーダー、「久本 篤」だ」

「K.U.V・・・?」

「そう、国家の秘密組織だよ」

「秘密・・・組織・・?」

「そう、政府から直々に送られてくる任務をいつもこなしているんだ」

「・・・任務ってまさか!?」

そこで由奈が割って入ってきた。

「そうよ、私が相手していたような敵{聖甲魏}を殲滅するのが主な任務」

「せい・・こうぎ・・?」

「そう・・・」

「聖甲魏の話なら僕がしよう」

そう言って久本が入ってきた。

「聖甲魏はね、一言で言うと{神を目指している集団}なんだ」

「神を目指す・・?」

「知っているかい?人体の力のほとんどは脳が抑制していて普段は使えないという話を」

「あ・・ああ、なんか全部の力を出すと体がぶっ壊れるってやつだろ?」

「そうだ。しかし・・・、」

そこで、久本は押し黙った。

「・・・?なんなんだよ・・?」

「いや・・・、話の途中だが、どうやら客人のようだ」

「・・・危ない!!」

最後の言葉を聞く前に由奈の身体が吹っ飛んだ

「なっ!?おい!?如月!?」

「あたしのことはいいから、前からの攻撃をよけて!!」

前を見ると数本のナイフが飛んできていた。ちょっとまて!?俺はまだこんなところで

死にたくないぞ!?あんなの当たったら死亡確定じゃねーか!!

「こんなんで・・・死ぬなんてごめんだ!」

「片桐くん!見切りだ!!」

ーーーーーーーーあれ?

「・・・全部・・・避けれた?」つうか・・・全部見えたぞ・・・?

「・・・まさか?」

そうつぶやいた敵の黒マントに由奈が太刀を突き刺した。

「ぐっ!?」

「いつまでもあなたの好きにはさせない!!」

黒マントはよろけたが、すぐに体勢を立てなおして言った。

「まさか・・・こんなところに・・」そう言って俺のことをまっすぐににらんでくる。

まったく意味がわからん・・!

「まあ、いい・・、いずれまた・・・会おう・・」

「逃がさない!!」

しかし由奈の声も虚しく、黒マントは一瞬で消えたしまった。

「ふぅ・・」久本が落ちたナイフを拾ってため息をついた。

「やはり・・・聖甲魏ですね」

てか・・・昨日の今日でまた死にそうになったんすけど・・・

もちろん、そんな脳裏にの言葉が聞こえるわけもなく

「大丈夫だった?功名?」などと由奈が聞いてくる。

「こんなのに大丈夫になったらダメな気がする・・・」

「いやいや、キミには大丈夫になってもらわないと困るんですよ」横から久本が割って入ってきた。

「・・・どういうことですか?」由奈が不思議そうに聞き返した。

「どういうこと・・・か。私の話と、さっきの彼の動体視力を考えれば・・わかると

思いますよ?」

??俺の・・・視力だぁ?

「なあ?なんのことだかさっぱり・・?」って聞いた由奈はハッとした顔で俺の顔を

見ている。

「もしかして・・・あなた・・?」

なんで由奈が驚いているのかさっぱりわからない。

「てか、俺にもわかるように説明してくれよ!」そう言うと久本が椅子に腰掛けて言った。

「さっきの話・・・、人間の潜在意識を呼び覚ますことを聖甲魏は目指していると

言いましたよね?」

「・・・あ、ああ?」

「しかし、ごくたまにですが・・・そのようなことをしなくても最初から脳のリミッターが

かかってない人がいるんですよ。もちろん、最初からそうなので、身体が順応していき

壊す事もないという、紛れもない[天才]という者たちが」

「てん・・・さい?」

「・・・そうだよ、そしてそれがキミなんだよ・・功名」

隣にいた由奈がつぶやいた。

「俺・・が?」

「そう、キミのその眼は・・・リミッターがかかってないの」

「俺の・・・眼があ!?」

「うん、さっきのナイフを避けた時の反射神経と動体視力・・・、あれは天才の域だよ」

「そう、だから君には今回のような事態にもしっかりと対処してもらわねばならないんだ」

ああ・・・、なんかどっかのマンガとかみたいな展開だ・・。てかこの後の久本の

言うことがなんとなくわかるぞ・・・。

「片桐功名くん、君には私たちの力になってもらいたいんだよ」

・・・やっぱり・・。

「俺が嫌だって言ったらどうすんだよ?」

「君は嫌だとは言えないよ。すでに君は聖甲魏に目をつけられた。それこそここで私たちの

誘いを断ればすぐにやつらに捕まって研究対象にされるのがオチだよ」

さわやかそうな言い方をしてるあたりがむかつく・・。

「ほとんど脅迫じゃねーか!?」

「しかし事実だよ。それともうひとつ・・・」久本が由奈のことを一瞥して言った。

「君は少なからず・・・由奈の事が気になっているんじゃないのかな?」

「え?あたし?」 

「ぶっ!!」如月の声と俺の噴出しが見事にハモった。

「あたしがどうかしたの?」

「わーわーわー!!」あわてて久本と如月の間に入った。

「ふふ・・・自分に素直になりなさい・・」久本の怪しい声が俺に降りかかる。

そ、そりゃ確かに気になってるけどさ!そういう意味じゃなくて!

俺の心を察したかのように久本が言った。

「どうします?このまま独りで帰って死ぬか、私たちと共に戦い、生き延びるか・・」

最後に久本が小さな声でつぶやいた。

「由奈の傍にいるか、離れるか・・・」どんだけ引っ張る気なんだよー!!

「・・・あー!もう!わかったよ!仲間になるよ!なりゃあいいんだろ!」

「さすが、理解が早くて助かります」久本が嬉しそうに言った。誘導したのはどいつだよ・。

「じゃあ、由奈、戦闘訓練のほうは君に頼みますよ」

「はい」由奈がすぐさま返事した。やっぱり俺も戦うんだ・・・。

「体長に頼まれたから、明日から訓練始めるよ?」それと言っとくけど、あなたが天才

とかそんなの関係ないから。戦場で死なれたくないから厳しく訓練するよ」

そう言うと由奈は部屋から出た行ってしまった。

な、なんか・・・今のは一段と冷たい・・・。そんな俺のつぶやきを読み取ったのか

久本が言った。

「彼女・・・由奈は普通の人間ですからね。君らのような天才に憧れている分、嫉妬

しているのですよ」

「あの身体能力で、普通って・・・」

「あれは彼女の努力の結果ですからね。決して生まれ持った能力というわけではありません」

「そうなのか・・・。てか、なんであいつは戦ってるんだ?」

「・・・彼女の家族が・・・彼女がまだ小さいころに聖甲魏に殺されましてね・・・

彼女の両親は二人とも聖甲魏のメンバーでしてね、能力開花も受けた戦闘のプロだった

んですよ。しかし・・・聖甲魏のやり方に不安を覚えた彼らは由奈が生まれた年に

聖甲魏を脱走したんです。そして我々の元にやってきて、以後私たちに協力くれていた

んですが・・・聖甲魏に・・・由奈の見ている前で殺されましてね・・・

由奈は私たちでなんとか助けたんですが・・両親は二人とも・・・」

・・・あいつ・・・、そんなことが・・・。

「それ以来、彼女は自分の力不足と・・・聖甲魏に強い憎しみを抱いてしまいましてね

だから、生まれたときから力のある君たち天才には少し抵抗があるみたいなんですよ」

「そっか・・・」

「でもですね・・・あの子の心の闇を取り払う事ができるのは、君しかいないと、私の

直感が言っているですよ」

「お・・・俺!?」

「まあ、あくまで直感ですけどね」そう言って久本は寂しそうに笑った。

「そろそろ君も帰りなさい。細かいことはまた明日説明しよう」

「あ、ああ・・・」

「それと・・・」久本はあの怪しい笑みを浮かべて言った。

「女の子はあまり待たせるものではないよ?」

・・・え?

「窓の外、ビルの下を見てごらん?」

「・・・あれって由奈!?」

「君の事を待ってるんだろう?早く行ってやらないと怒るぞ?」久本はクスクスと笑って

いる。話長いやつはどこのどいつだ!

「ああ、もう!」そう言って俺はエレベーターに飛び乗った。

「頑張ってくれよ。戦闘も・・恋愛も」ドアが閉まる前、久本が言った。

だからそんなんじゃねーって!!

エレベーターが下について、俺は大急ぎで外に出た。ビルの前では由奈がこっちを

にらんで待っていた。心なしか、目がマジで怖い。さっきの話を聞いたからか?

「局長と何話してたの?」急に由奈が聞いてきたので返答に困った。

「い、いや!これからどうすればとかそんな話だよ!!」

「ふーん・・・」

自分で聞いたくせに興味なさそうに切られた・・。やっぱ俺がその、天才とかいうやつ

だったからか?自分ではあんま実感ないけど。

「さっきも言ったけど、あなたが天才だからって変な気使ったりするつもりはないからね?

ちゃんと覚悟しといてよ?」冷たく発せられる言葉・・・

「あのさ・・ぶっちゃけ、俺自身、その天才とかいうのにはあんま実感わかねーんだわ」

由奈の顔が軽く引きつった。

「けどさ・・・、最終的にはどれだけやったかが力になるんじゃねーか?生まれ持った

もんなんて関係ない。どれだけ自分の信念を曲げずに突き進んでいけるかが大切

なんだと俺は思う」

だから・・・だからこそ・・

「お前は、俺なんかより・・その天才とかいうやつよりよっぽどすげーと思うぞ?」

とたんに由奈がハッとした顔になった。てか泣いた。

「わー!?どうしたんだよ!?泣くなー!?」もはや意味がわからん;;。

「だって・・・そんなバカみたいに正直なこと言ってくれたの・・・キミが初めて

だったから・・・」

「だからって泣くほどのことかよー!!」

「あたしにとっては泣くほどのことなの!!なんにも知らないくせに・・・」

・・・なんにも知らないわけではないけど・・・

「と、とにかく!あたしにそんだけ言ったからにはちゃんと努力して、強くなって

もらうよ!?」

「りょ、りょうかいです;;」

明日から大変な日々が始まりそうだ・・・。

「でもね・・・」不意に由奈がつぶやいた。

「なんだよ?」

「キミになら・・・心を許せるかも・・・」

「・・・え?」

「な、なんでもない!!」そう言って由奈はそっぽを向いてしまった。


明日から大変だ。だけど・・・ちょっとだけ楽しみな日々が始まる。

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