死記
冬が訪れた。
冬は夏を覆い隠してその熱が無くなるのを待つ。その間に秋が来る。
秋は本を読みながら冬に挨拶すると、そのまま通り過ぎて行った。
冬は雪を呼び、雪は跡を消す。
太陽は隠れて出てこようとしない。冬は仕方がないので、太陽に向かって「寝てるだけだから安心して」と言う。
太陽は返事をする代わりに口元を緩めた。そして残っていた秋が太陽を寝かせる。
冬が疲れて眠気が襲ってきた時、春が訪れた。それに気づいてみんな居るべき場所に帰る。
春は夏と太陽を起こそうと揺すったのだが、夏と太陽が起きることはなかった。
春は仕立てあげられたのだ。犯人に。