さくらチル
・・・君は今どこにいる?
沢山の制服達をかき分けて君を捜す。
サクラが程よく散り始め、風が暖かく頬を撫でる。
革製の筒、リボンの着いたコサージュ。
誰もが笑顔で語らう中・・・
君の姿が見つからない。
写真撮影している少年達を横目に僕は君を捜し走る。
見慣れた校舎は色あせて、机はまるで自分が座っていたものとは思えない。
長い廊下は春の日差しが差し込み、眩しく埃がきらめいた。
見回しても君が見つからない。
階段を駆け上がり、ドアを開けると春の香りが鼻をくすぐる。
風が吹き荒れる校舎の屋上。
靡く黒髪、凛とした後ろ姿。
やっと君が見つかった。
舞い上がる花びらが、彼女をよりいっそう引き立てる。
僕はその名前を呼ぶ、今まで忘れたことなどない名前。
僕が一番大切にしている名前。
彼女は振り向くと、哀しそうに微笑んで見せた・・・
これからも僕は君を見つけよう。
たとえ、離れても・・・・
読んで下さり有り難うございます。
短編は初めてでしたが、詩みたいな感じになってしまいました。
何かを感じて頂けたら幸いです・・・