アニキのルーレット
代行も終盤に差し掛かった午前1時。
5号車にガソリンを補充しに行った社長のアニキが突然の無線。
「1!(1号車=社長)」アニキ
「ハイ」インチキ社長
「ルーレット回んないけどいいのか?」アニキ
!?
「なに言ってんだか分かんない」インチキ
ごもっともです。
あのね、最近使っているガソリンスタンドなんだけど、ここでは給油するごとにタッチパネルでスロットマシーン抽選が行われるの。
それでね、揃った図柄で1リットル当たりの割引が決まるって仕組み。
インチキ、ここのスタンドではほとんど自分で給油しないから、そんなこと分かってません。
っていうか、スロットマシーンとルーレットは違うしっ!
しばらくしてオレの運転する9号車がスタンドに到着。
寝ぼけた目をしたアニキが駆け寄ってきます。
「あのな、これな10リットル以上給油しないとルーレットが動かねぇのよ。オレら9リットルで動かなかったもん」アニキ
そういい残して帰っていきました。
今日のオレのバディはいつものMn氏。
ガソリンスタンドだってのに、腐ったオニオン口臭のニオイのほうが勝ってます。
アニキの話しを聞いたMn氏、給油機に1万円を挿入し、車体をゆすって意地になりながら10.3リットルを給油。
シーーーーーーーーン!
ルーレットはおろか、スロットが回りません。
そんな兆候さえ見えません。
アニキのウソです。
たぶん、勘で言ったにすぎません。
当てずっぽう。
本人に悪気はありません。
車内から無線が聞こえてきました。
「1!」アニキ
「はい」インチキ
「あのな、10リットルじゃないから回んなかったわ!」アニキ
「言ってることがまったく分からない」インチキ
さて、10.3リットルを給油し終えたオレが無線を入れました。
「アニキ!」オレ
「ん?」アニキ
「10.3リットルでも回らんかったよ」オレ
「・・・・・」アニキ
「ウソツキ!」Mn氏
「入れる人間が悪いんだな」アニキ
「お互い様」Mn氏
アニキの運転する5号車。
その5号車は、横断歩道で酔っ払いがふらついている夜の繁華街の赤信号を今夜も完全無視で疾走をキメてました。
アニキ、いつもお疲れさん。




