ザコタの年末年始
インチキ代行には壮大で新たなドラマが待ちうけていました。
Y田改め、ザコタです。
パチンコに明け暮れたあげくに離婚し、それでもいまだにホームレスをしながら日当のすべてをパチンコに注ぎ込む負け組の熟練者です。
代行の日当はそこらのバイトよりも安定的に稼げる、またはタクシーよりも楽な内容でおっさん一人なら余裕で生活できる商売です。
ザコタも例に漏れず、2種免許を活かし最低でも日当9000円は稼いでたはずなのに、食費を含むすべてのお金をパチンコに投入し続け、その結果いろんなところから借金をしては逃げ続け、追われるたびに代行も転々としてました。
で、前回インチキ代行に籍を置いていたときは在籍一週間で取り立てに見つかり、勤務中に乗用車を没収される超ラッキーぶりを披露し、まもなく逃げるように他社に移っていきました。
さて、5日前、あまりの忙しさにハァハァだったインチキが、無職に泣いているザコタを拾いバイトに使ってあげました。
どうやら前勤務先の代行で給料を前借りしたあげくパチンコで全損し、返せなくなって逃げたとのこと。
この辺、インチキは大歓迎です。
大好物。
胡散臭いヤツは胡散臭いヤツを好みます。
ザコタはこの日、日当8000円を受け取り、笑顔で帰っていきました。
さて、昨夜。
またインチキがザコタを呼びました。
あ、ザコタは本名じゃないです。
Y田なんだけど、やってることがザコ過ぎるのでザコタになりました。
たぶん52歳くらい。
年末の順調な忙しさにあやかるべく、颯爽とインチキの操る無保険の1号車に乗り込みました。
が、
が、
まもなく見知らぬ人影が二つ、インチキ代行の駐車場に現れました。
不気味です。
MIBです。
街外れの薄暗いインチキ代行の駐車場に来訪者はまずありません。
身構えるインチキ!
しかし、人影は迷うことなくインチキの1号車に向かってきて、こう言いました。
「北見警察署の者です」
刑事です。
さすがのインチキも無保険がバレたのか!とばかりに観念の表情です。
だがしかし!
刑事が1位指名したのは、なんとザコタでした。
容疑は「無銭飲食」!
食うには余るほどの日当があるはずなのに、やっぱりパチンコで全損し、挙句の果てに無銭飲食をブチ決めてきました!
しょっぴかれるザコタ、安堵で笑顔のインチキ。
悲壮感漂うほどの逮捕劇ですが、意外や意外、ザコタは年末年始を暖かい部屋で、加えて3食付きというプレミアムな休日を過ごせるとばかりに、ちょい笑顔で連行されていきました。
たぶん余罪たっぷりでしばらくは会えなくなります。
ダメ人間の末路です。
オレらのように年末年始も必死に稼ぐ一方で、犯罪者ながら食住完備の充実した年末年始をすごせるザコタのほうがラッキーなのか、判断に苦しむところです。




