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らりるれろ

おっさんです。


代行の客。


一回、あたってます。

ああ、中るってのはね、北海道では「脳卒中」のことを言います。

前にも書いたけど。



「あの人、中ってるからねえー」おばさんたちはこう言います。



で、おっさん。


「らりるれろぅ~」


言語に障害がきちゃってるから、基本、「ら」行です。

聞き取れない。

ちなみに、ばいきんまんは

「はっひふっへほーーー!」

「は」行です。


昔、このおっさんは繁華街で評判よろしくない一杯飲み屋を経営していたんだけど、中ってからは保険やら障害者年金で暮らし、さらに悪い癖を使っていろんなところから不正な方法で金を引っ張ってきては、その金で豪遊してるらしい。


昨夜も5人のホステスを抱えて飲んでました。



「11号車!」インチキ


「はい」オレ


「○○に行って。〇町の人がいるから」インチキ


この手のヤクザまがい客は、間違ってもインチキは行きません。逃げます。


オレらの仕事。



行きました。


で、「ら」行のおっさんからクルマのキーを受け取って、クルマを近くの駐車場へ取りに行き、再びおっさんを迎えに行きました。


店にいるおっさんにクルマを持ってきたことを伝えて、代行車に戻ろうとしたら、おっさんのクルマに乗って待機してるはずのやーくんがクルマの前に立ってます。


トラブル発生!



どうやら、やーくんのクルマの前に駐車していたホステス送迎車が、やーくんの客車に気づかないで思いっきりバックして来たとのこと。


客車(ら行)の前部が凹んでました。



「やーくん、大丈夫だった?」オレ


「うん、バックしてきたのが分かったから何とか受け身を取ったよ。ぜんぜん大丈夫」やーくん



すでにぶつけた相手はケーサツに通報して事故処理をしようとしてます。



ここで客が来ました。



「らーーーりるれろーーーー!」(なにやってんの?)おっさん


「いや、お客さんを呼びに行ってる間に追突されちゃったみたい」オレ



「らーりるるれろーーーーー!」(保険屋を呼ぶわ!)おっさん



不思議なことに5分もしないうちに保険屋が来ました。

夜中の2時なのに。



「らーりるれーろう!」(これは人身だよな!)おっさん


「ららる、らーるらー!」(これは廃車だな!)おっさん



「いやー、これは警察の調査もあるから何とも・・・」保険屋


「ららーり!らーり!」(お前を首痛いだろ?)おっさん



「いや、なんともないです」やーくん




とりあえず、事故の検分を終えて客車が発車しました。


5分ほどでおっさんの家に到着し、やーくんが急いで代行車に帰ってきました。




「どーした?」オレ


「らりらりのおっさんがうるさくて!」やーくん



「なんで?」オレ


「明日、オレを病院に連れて行くっていうんだわ!医者と知り合いだから上手くやって、頸椎捻挫で80万くらい保険金もらってやるから半分よこせ!っていうんだわ!」やーくん



とんでもない「たかり」です。


自分はなんでもないのに、被害者のやーくんを使って保険金をせしめようとしてます。おまけにポンコツを新車にするつもりらしい。


ピロピロピロ~♪


やーくんのプリペイドケータイが鳴りました。



「あ、あいつ(おっさん)だ!さっそく電話してきやがった!」やーくん



やーくん、電話に出ません。しばらくして鳴り止みました。



「これ、間違って出たら大変だから、名前を登録しとこー」やーくん




「あれ?あれれ? 名前なんて言ったっけなあ」やーくん



「『らーりーるーれーろー!』って言ったから、『はぁ?』って聞き返したら、さらに『らーりーるれーろーっ!』って。結局、なんて言ったんだろー」やーくん



「ま、いいや」やーくん



そういいながら、おっさんの着信を辿り、名前を「?」で登録しました。



ピロピロピロ~♪


また鳴りました。



ケータイ画面には「?」マークが表示されてます。



らりるれろのおっさんです。


「もう一回、中っちゃえばいいのに!」やーくん


おっさん、いまごろ保険金の計算をしているはずです。


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