北村さん(客)
これで3回目です。
北村(客)のオッサンが超酔いつぶれたのは。
このオッサン、酔いつぶれると、代行中のタウンエース(自分の)の後部座席の座席と座席の間で爆睡しちゃいます。こうなると起こすのも難易度Eになります。
今夜もそうでした。
市内からクルマで揺られること20分。郊外の寂しい農村地帯に刺さりこみます。
到着しました。
大きな倉庫に入れたタウンエースからやーくんが降りてきました。
北村のオッサンは降りてきません。
嫌な予感。
後部のスライドドアを開けました。
オッサン見事に挟まって爆睡してます。
スライドドアから見えるのはオッサンの腰下部分のみ、上半身は3列シートの3列目にいっちゃってます。
「北村さん、北村さん、着きましたよ!」やーくん
「・・・・・」オッサン
「いつ見ても『どうやったらこうなっちゃうのかなあ?』ってくらい器用に挟まっちゃってるよなー」やーくん
「どうする?」やーくん
「引っ張ってみようか」オレ
2人でそれぞれ足首を持ち、「せーーーーの!」で引っ張りました。
「うううーーーんっ」オッサン、ちょっと苦しそうな声をだしました。
でも、ちっとも起きません。
「どうする?」やーくん
「引っ張ってみようか」オレ
不整脈出まくりながら「せーーーーの!」で引っ張りました。
ズズズズー!
20センチ抜けました。
っていうか、上半身がちょっとだけ移動しただけで、ほとんどは衣服が脱げただけ、ヘソと乳首が丸見えの状態です。
「北村さん、北村さん、風邪ひきますよ!」やーくん
「ううううーーーんっ」オッサン
「どうする?」やーくん
「引っ張ってみようか」オレ
ヤケクソの全開で引っ張りました。
「キューーーーーンッ」オッサンから変な声が漏れました。
上半身が激しく座席間に食い込んだらしい。
「どうする?」やーくん
「帰ろっか」オレ
「北村さーーーーん、帰りますよーーー!」やーくん
「料金は売掛にしときます!」やーくん
「ううううーーー」オッサン
「はい了解」やーくん
「エンジンどうする?」やーくん
「止めたままでいいんじゃない?」オレ
気温マイナス1度
「ドアどうする?」やーくん
中途半端に引っ張り出したから、オッサンの足がスライドドアからぶら下がったままで、ドアがうまく閉まりません。かといって元の場所にも戻りません。
「このままでいいんじゃない?」オレ
「このままで帰りますよー!」やーくん
「ううううーー」オッサン
「はい了解」やーくん
「ありがとうございましたーーー」オレ&やーくん
2人で11号車に戻り、倉庫に収まったオッサンのタウンエースを照らしてみました。
スライドドアが開きっぱなしで、そこから力なく2本の足が垂れ下がってます。
「死体ですな」やーくん
「事件現場ですな」やーくん
「ちゃんと起きればいいなあ」オレ
「11号車空車、料金未収」やーくん、無線を入れました。すでに次の仕事モードに入りました。
「11号車、了解」インチキ
この日の予想最低気温はマイナス2度。雪の予報が出ています。




