走らない秘密
インチキな夜でした。
インチキの野郎、久しぶりに女性ドライバーをバディにしちゃったもんだから、クサレ客をほかの車両に押し付けて、自分らはシッポリとどこかに雲隠れです。
こんなときはトゥルットゥーとじいちゃんの5号車、やーくんとY氏の7号車の2台がいわゆる「ザコ配車」の餌食になります。
ようするに面倒な預かりや往復20分くらいの頻繁に乗り降りする仕事ばかり。
そうなると、使われる方もグレてきます。
たとえば、まれに往復1時間クラスが配車されるとタップリと時間をかけた安全運転になります。1時間が2時間とか。
今日なんかね、7号車に往復40分の仕事が振り分けられました。順番飛ばしのインチキ配車。
するとね、
いくら待っても帰ってきません。
やっと帰ってきたと思ったら1時間10分経過。
7号車が帰ってきたところで聞きにいきました。
「やったね?」オレ
「やった」Y氏
「どれくらいやったの?」オレ
「帰りの道は時速30キロだった」Y氏
「途中で後ろに8台の渋滞になってた」Y氏
「気がついたら20キロになってて、ヘルメットかぶった自転車に追い越された」Y氏
自転車に追い越されるプロドライバー。
「インチキ配車にはインチキ走行」Y氏
ほかのクルマが一晩に12本程度走るところを7号車は8本で終了です。
一方のトゥルットゥー。
じいちゃんとともにコキ使われてます。
今夜も一晩で350キロを走破しました。かなりのコキ使われよう。
今夜もじいちゃんドライバーの目はチワワのコーモンのようになってました。
帰りに労いました。
「とうさん、頑張ったね!」オレ
「もう、ヘトヘトでしゅ」じいちゃん
「明日も忙しいよーーー」オレ
「がんばりましゅ」じいちゃん
「5号車!」インチキ
おーーーーーっと、終わったはずなのにインチキが禁断の配車です。
みんな帰り支度をしてるのに、全車に「お疲れ様コール」を出したはずなのに、出なくてもいい客からの電話に出て、要請を受けました。
「○○駐車場に行って!お帰りは〇〇〇」インチキ
往復50分コースです。
じいちゃんの首がカックリと前に折れました。
完全に無表情になったじいちゃんの運転する5号車がカクンカクンいいながら駐車場を出て行きました。