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第70話 美咲の叫び

突然、あかねの体が激しく震えた。


そして、別の声が響いた。


「お姉ちゃん!」


美咲の声だった。


「もう、嘘はやめて!」


あかねの水の体が、二つに分離し始めた。


姉妹の意識が、激しく対立している。


「美咲、やめて!」


「いや! 慎一さんに、本当のことを話して!」


美咲の意識が、一時的に表面に出てきた。


水の体が、美咲の姿を形作る。


「慎一さん、聞いて」


美咲が必死に訴えた。


「お姉ちゃんは、あなたを守ろうとしているの」


「守る?」


「本当の水籠の条件は、三つある」


美咲が続けた。


「一つ、清い心を持つこと」


「二つ、自ら進んで水に還ること」


「そして三つ……」


美咲の声が、恐怖に震えた。


「愛する者の、裏切りを受けること」


慎一は、その意味を理解して戦慄した。


「あかねは、俺を裏切ることで……」


「そう」


美咲が頷いた。


「お姉ちゃんは、あなたを水籠にすることで、自分も完全な水籠になろうとしている」


「でも、それは同時に、あなたへの最大の裏切り」

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