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第47話 父の手記の真実
香織が、震える声で言った。
「父の手記に、もう一つ重要なことが書かれていた」
彼女は、手記の別のページを開いた。
『双子でなくとも、強い絆で結ばれた二人なら、
新たなる双子となり得る。
但し、その絆は、命を賭けるほど強くなければならない』
慎一と香織は、顔を見合わせた。
自分たちが、新たなる双子となる可能性。
「でも、どうやって……」
その時、あかねと美咲が同時に口を開いた。
「第八の井戸を、開けてはだめ」
「なぜ?」
「朝日様は、もう正気じゃない。千年間、氷の中で姉への憎しみを募らせ続けた。解放されたら、もっと恐ろしいことになる」
5. 井戸からの呼び声
しかし、その警告も虚しく、第八の井戸が震動し始めた。
封印の岩に亀裂が走り、隙間から青い光が漏れ出す。
そして、声が聞こえてきた。
『やっと……やっと来てくれたのね』
女性の声。しかし、それは狂気を孕んでいた。
『千年……千年も待った……』
『姉さん……夕日姉さん……今度は私の番……』
朝日の声は、憎悪と狂気に満ちていた。




