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第37話 地下の真実

地下は、想像を絶する光景だった。


無数のガラス瓶が棚に並び、中には臓器のようなものが浮いている。しかし、それらは普通の臓器ではない。半透明で、脈動し、明らかに生きている。


「これらは、歴代の水籠たちの変化の記録です」


深海が誇らしげに説明した。


「三百年にわたる、人間から水への進化の過程」


慎一は吐き気を堪えた。


「進化じゃない、これは病気だ」


「病気?」


深海が笑った。


「そう考えるから苦しむのです。受け入れなさい。これは次なる段階への移行なのです」


深海は、慎一を診察台に座らせた。


聴診器を当てられると、激痛が走った。金属が、変化した皮膚を焼く。


「ふむ、心音に水の流れる音が混じっていますね。順調です」


採血をされたが、出てきたのは血ではなく、青みがかった透明な液体だった。


「素晴らしい。もう60%は置換されている」


深海は恍惚とした表情で試験管を見つめた。


「通常なら、この段階で意識を失うのですが、あなたは違う」


慎一は、診察台から降りようとした。


「もう十分です」


「いや、まだ見ていただきたいものがある」


深海は、慎一を別室へ案内した。

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