第24話 島の昼下がり
昼食は、港近くの食堂でとった。
『浜茶屋』という小さな店で、地元の人々で賑わっていた。
「ここの海鮮丼が絶品なんです」
あかねの言葉通り、出てきた海鮮丼は見事だった。
新鮮な魚介類が、ご飯が見えないほどぎっしりと乗っている。マグロ、イカ、エビ、ウニ、そして朝獲れたばかりの地魚。
「うまい!」
老人が、子供のような笑顔で頬張っている。
中年男性も、黙々と箸を進めていた。
「こんなに新鮮な魚、東京では食べられませんね」
慎一も、その美味しさに感動していた。
特に、地魚の刺身は絶品だった。淡白ながら旨味があり、醤油をつけなくても十分美味しい。
「これで千円は安いなあ」
店主が、嬉しそうに笑った。
「観光客の方にも、島の味を知ってもらいたくてね」
食後、一行は港でしばらく休憩した。
防波堤に座って、海を眺める。
穏やかな海面に、小さな漁船が浮かんでいる。カモメが鳴きながら飛び交い、潮風が心地よく吹いてくる。
「平和だなあ」
老人がしみじみと言った。
「こういう時間が、一番贅沢かもしれません」
午後は、それぞれ自由行動になった。
老人と中年男性は宿に戻って昼寝をし、慎一とあかねは島の反対側へ散策に出かけた。




