第7章:剣聖カイザーの修練
第7章:剣聖カイザーの修練
神器戦記 - 神滅三国
第7章:剣聖カイザーの修練
瀕死の勇者たち
五凶鬼との死闘を終えたリクたちは、ボロボロの状態で地に伏していた。
炎、氷、風、闇、雷――全ての鬼を倒したが、その代償は大きかった。
「くそっ……立ち上がれない……」
リクが血を吐きながら剣を支えに立ち上がろうとする。
カエデは肩で息をし、レオンの剣は折れていた。
シオンの魔力は枯渇し、ミアの体は傷だらけだった。
「このままじゃ……グレンに勝てるわけない……!」
絶望が五勇者を包む中、静かな足音が響いた。
「……お前たち、この程度で諦めるつもりか?」
低く、しかし力強い声。
「誰だ……?」
リクが顔を上げると、そこには一人の男が立っていた。
剣聖カイザー。
彼は黒い外套を纏い、背には巨大な剣を背負っていた。
「お前たちを鍛えてやる」
カイザーがゆっくりと歩み寄る。
「お前たちはまだ未熟だ。ゼウスを討つどころか、グレンにすら勝てん」
リクは歯を食いしばる。
「じゃあ、どうすればいい……?」
カイザーは剣を抜き、静かに言った。
「死ぬ気でついてこい」
こうして、リクたちはカイザーのもとで修練を受けることとなった。
熾烈な修行の日々
カイザーの修行は苛酷を極めた。
彼はただ剣を振るうのではなく、戦いの本質を五勇者に叩き込もうとした。
第一の修行:剣術の極意リク
「お前の剣には”迷い”がある」
カイザーは剣を振るいながら言う。
「雷の力に頼りすぎるな。お前が振るうのは雷ではなく”剣”だ」
リクは何度も打ち倒されながら、剣の本質を学んでいった。
「俺は……もっと強くならなければ!」
ある日、リクはついにカイザーの剣を受け止めることに成功する。
「……よし、少しはマシになったな」
リクの雷刃は、新たな段階へと進化した。
第二の修行:炎の極限カエデ
「お前の炎はまだ”怒り”の炎だ。だが、本当の炎は”意志”によって燃え上がる」
カイザーが指摘する。
カエデは火山地帯で修行を続け、己の炎と向き合った。
「……私は、守るために戦う!」
炎が変化し、槍が真紅に燃え上がる。
「フェニックスブレイザー!!」
火の鳥が彼女の槍から生まれ、大地を灼熱で包んだ。
「ふむ……悪くない」
カイザーは満足そうに頷いた。
第三の修行:魔力の深化シオン
「魔法はただの力ではない。“制御”することが大事だ」
カイザーはシオンに制御術を叩き込んだ。
「……氷は、相手を凍らせるだけじゃない。未来を切り開く力だ」
シオンの氷杖が輝き、冷気が研ぎ澄まされる。
「アークティック・ディバイド!!」
吹雪の刃が大地を裂き、氷壁が生まれる。
「なるほど……これが”精錬された魔法”というわけか」
シオンは新たな魔法の境地へと達した。
第四の修行:疾風の体得レオン
「お前は力任せに剣を振るっている。それでは”速さ”には勝てない」
カイザーは風の流れを読むことをレオンに教えた。
「風を感じろ……そうすれば、剣は”流れ”を掴む」
レオンは何度も倒されながらも、剣技を磨いていく。
そしてある日、ついに風と一体となる。
「ストームエッジ・クロノス!!」
剣が風と同化し、目にも止まらぬ速さで斬撃を繰り出す。
「……これなら、グレンにも通じるかもしれん」
レオンは剣を握りしめた。
第五の修行:闇の覚醒ミア
「闇とは恐れではない。お前自身が”闇を恐れぬ者”でなければならない」
カイザーの言葉に、ミアは静かに頷く。
「私は……もう逃げない」
闇を受け入れたミアの鎌が漆黒に染まる。
「ダーククレセント・エクリプス!!」
巨大な闇の三日月が放たれ、大地を切り裂く。
「……見事だ」
カイザーは満足げに頷いた。
修行の終焉、そして決戦へ
修行が終わり、リクたちは以前とは比べ物にならないほどの力を得ていた。
「これで……俺たちはグレンを倒せる!」
リクは雷刃を掲げる。
「五凶鬼を討ち、剣聖の修行を終えた今……次こそ、決着をつける!!」
カエデ、シオン、レオン、ミアもそれぞれ神器を手に、覚悟を決める。
「行くぞ、鬼国夜叉羅へ!!」
雷が轟き、炎が燃え、氷が輝き、風が舞い、闇が渦巻く。
五勇者はついに最強の鬼将軍グレンとの決戦へと向かう――。
次章:「鬼将軍グレンとの最終決戦」へ続く