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サキュバス、夢の中では最強です  作者: 雪村灯里
第二章 学院の夢幻迷宮編

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19 休日

「おいしい!!!」


 私は独り、王都の公園でブランチを愉しんでいた。

 屋台で買ったパンを食べている。


 今日は久々の休みだ!


 夜に陛下の元に行って催眠をかける仕事が残っているが、それまでは完全なる自由!!私を縛る物は何も無い!仕事も課題も昨日のうちに片づけた。えらい!!


 チャトルルはそれぞれ用事が有って一緒に遊べないので一人だ。先生も今日は王宮で仕事が有るらしく別行動だ。リーリも公務で会えない。


 仕方ない。リーリ達が守る治安の良い都だ。独りで楽しもう!


 ◇ ◇ ◇


「―――と言う事で。では先生!今日は一日羽を伸ばしてきます!!」


 言葉の通り私の翼と尻尾は嬉しそうに動く。

 それを見て呆れたように、彼は


「ああ、楽しんで来い。知らない奴についていっちゃ駄目だぞ。」


 ―――私は子供ですか。まぁそれは置いておいて。「わかりました!」と返事をして意気揚々と出掛ける。


 今日は天気も良くて暖かだ。

 街は休日でにぎわっている。お菓子が有る!あの洋服可愛い!などなど。目的の無い買い物が始まった。


 ◇ ◇ ◇


 そして今、に至る。


 そうだ!お兄ちゃん元気かな。たまには連絡するかな。

 私は左手に付けているバングルに向かって話しかけた。このバングルはラプラスβ(ベータ)こと私の実兄と通信できる不思議なアイテムだ。


「もしもし、お兄ちゃん聞こえる?・・・」


 ノイズが聞こえた。いつもより音質が悪い。

 いつもは驚くくらいクリアに聞こえるのに。ひと呼吸置いて兄の声が聞こえた。

 凄いガサガサして聞こえにくい。


「・・・・ああマヤ。すまない、今立て込んでてね。また後日掛けなおす!せっかく連絡くれたのにごめんな。」

「ううん、大丈夫だよ。体に気を付けてね。じゃあ」


 ・・・・忙しいのか、めずらしい。


 私は通信を切った。特に用事が有った訳でもないのでいいのだが・・・仕事人間な兄なので異世界でも働きづめになっていないか心配である。また日を改めて連絡しよう。さてと、この後どうしようかな・・・


「おいしそうじゃん!一口頂戴。」


 急に後ろからそんな声が聞こえてきた。

 何の気配も感じなかったのに、肩に手が置かれ私が反応するよりも早く後ろから持っていたパンを一口食べられてしまった。


 なに!全然気づけなかった!!


 視界に映る若葉の様に鮮やかなライトグリーンの髪の毛。そして私の昼食を盗み食いした犯人と眼鏡越しに目が合う。彼はしてやったりの表情でこちらを見ていた。


「な!先生?・・・いや、シャル!!」


 そう、彼は先生の影武者、シャルだ。

 普段は髪を上げて額が見えるスタイルだが、今日は先生のいつもの姿と同じ前髪を上げず眼鏡をかけているが・・・


「何ですぐ分かっちゃうのさ!結構似せたと思ったのに。」

「姿は完璧だけど先生そんなキザな事しないし!それに匂いも違います!!」

「匂いって、そんな細かくわかっちゃうの!?」


 私はこれ以上昼食を取られまいと、もぐもぐとパンを食べ進めた。

 彼は私の前に回りニコニコと話し出す。


「今日、俺休みでさ~久々に街に遊びに出たら見知った顔が居てつい。ねえねえ、マヤちゃん。この後ちょっと付き合ってよ!」

「先生が、知らない人についていくなって・・・。」

「もぅ、そんな意地悪言わないでよ!」

「夕方までなら大丈夫ですけど、どこに行くのですか?」

「え!いいところ!!」

「・・・・・ぇぇぇぇぇぇ?」


 シャルと街を散策することになった。彼はこの町をよく知っていて、最近若者に人気のスポットや人気のカフェなどを、次はあっち、こっちと街を巡る。


 シャルに引き連れられながら、私はふと、ある店に目が留まった。

 魔法屋だ、王都の魔法屋って何が有るんだろう?


「シャル待ってください!あのお店見てもいいですか?」

「いいよ!魔法屋か・・・あの店俺の知り合いがいるから・・・この近くで待ってるよ。ゆっくり見ておいで。」


 彼はひらひらと手を振って私を見送った。


 そういう事なら・・・私はお言葉に甘えて店内に入る。

 王都の魔法店はやはり先生のお店とは違っていた。まず規模が違う!ここは二階建てで、一階が雑貨、二階が書籍と別れている。本の種類も多いし雑貨も所狭しと並んでいて目移りしてしまう。

 雑貨コーナーには文具の取り扱いもあった。羽ペンと万年筆だ。色とりどりの羽ペンが飾られており万年筆もガラスケースに宝石のように飾られていた。感心して見ていると品の良い紳士に「贈り物ですか?」と声を掛けられた。


 贈り物・・・そうだ!先生と出会ってからは彼にお世話になりっぱなしだ。何もお礼できていない。贈り物もいいかもしれない。


「・・・はい。プレゼント用に選びたいのですが、おすすめはありますか?」


 先生も普段は万年筆を使う、この国は羽ペンが主流だけど、異国を旅した時に万年筆を購入したらしい。普段使いできるものがいいだろう。


 しかし万年筆は流通し始めたばかりらしいのでお高い。値段を見てたじろいだが・・・チャトルルと一緒に取ったスライムの宝石核のうち一つを持っていたのでそちらを見せたら、宝石核の買い取りもしてくれるとのと。この石なら選び放題とまで言われた。どんだけよ宝石スライム。

 紳士はショーケースから1本取り出して。見せてくれた。

 全体的に濃紺だが、所々青くグラデーションが掛かっている。星空の様な色をした軸の万年筆だった。


「最近国内メーカーでも生産が始まって、こちら人気のモデルです。書きやすくて紙も破れにくいペン先をしています!それに、軸が御嬢さんの瞳と同じ色の石が使われていますから、今月末の贈り物にも丁度いいですよ。」


 紳士の話を聞いてハッとした。・・・そうだ、結星の日。

 照れてしまいそうになるのを抑えて、このペンを選ぶことにした。おまけでインクや付けてもらい無事にプレゼントは購入できた。・・・そうだ!


「シャル!お待たせしました。時間くれてありがとう!!」

「お!いい買い物はできた?」

「はい、おかげさまで。これシャルに。よかったら使ってください。」


 私は魔法店で買った髪飾りを渡した。シャルは公務の時も結った髪に飾りをつけていたのを思い出したからだ。


「え?俺に。・・・・マヤちゃんもしかして俺に気が・・・」

「無いですよ。今日案内してくれたお礼です。」

「早っ。やった!ありがとう!」


 彼は屈託のない笑顔で受け取ってくれた。そのあともシャルに都中連れまわされ、都の端から端まで移動したのであった。


 何であんなに元気なんだろう?私が体力無さ過ぎなのかな?


 休みを満喫したニコニコ顔の彼に夕方解放され、私はぐったりとして寮に戻ってきた。その後すぐに先生もぐったりしながら帰ってきた。


「・・・先生、お疲れ様でした。大丈夫ですか?お茶淹れますね。」

「ああ・・・すまない、ありがとう。・・・シャルはあの量の仕事をどうやってこなしてるんだよ。本当に意味が分からない体力をしている。・・・化け物だ。」


 成程、彼だから影武者が務まるのかもしれない。

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