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サキュバス、夢の中では最強です  作者: 雪村灯里
第二章 学院の夢幻迷宮編

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18 迷宮の怪物

 狂気じみた迷宮の怪物が剣を引きずりこちらに向かってくる。

 こんな光景をみておののいてしまいそうになる所で先生は生徒たちに声を掛けた。


「ここは俺が請け負う、君たちはこの黒い毛玉と一緒に出口へ迎え。分かったな?」


 毛玉!!

 そう言い残して先生は怪物に向かって走り出し応戦し始めた。

 生徒は怪物を見つめたまま恐怖で固まっていた。私は彼らの視界に割って入って注意をそらす。


「さあ、今のうちに行こう!ついてきて!!」

 黒い毛玉・・・けもの状態の私が話したことに驚いて我に返った生徒たちは顔を見合わせて頷いた。

 この迷路は幸運にも通路の幅が広いので、先生たちをすり抜けてゴールへと進む。化け物は生徒たちには目もくれず、先生と戦っていた。

 生徒たちにはもう興味がないみたいだった。


 突き当りを右に折れゴールへと飛んで先導する。周囲に動く気配の物は無い。ゴールには見たことの有る扉が有った。旧館で見た鎖で塞がれていたあの扉だ!そして生徒たちが扉に触ると三人ともフワッと光り扉の向こうへと消えて行った。


(これで大丈夫!次は先生!!)


 慌てて彼の元へと引き返した。激しくぶつかる二人の姿を捉えた!

 先生が優勢だ。次の瞬間怪物は剣ごとはじかれて後ろに吹っ飛んだ。


 吹き飛ぶ怪物と目が合った。怪物が私に気付くと驚いた表情をしていた。


「先生!みんな脱出しました!!」

「よし、俺達も行くぞ!」


 その瞬間、甘い匂いがより一層濃くなって体が動かなくなった。


「いたっ!」


 私は獣の姿から人の姿に戻って地面に落ちた。


 ―――!!・・・何で?

(魅惑の術で体を一瞬掌握された。・・・こいつ執念深いのう)


 何ですって!?掌握??私より強いって事?


 そして驚いている私の上に大きな影が落ちる。怪物だ・・・何をする気?

 怪物は私を小脇に抱えて迷路の壁の上に飛び乗る。抱え直されお姫様抱っこ状態になり、目が合うと・・・猫が甘える時のように頬ずりをされた。ぞわぞわと背筋が粟立った。


 え?え?え?何?何々?

 怪物に懐かれてる・・・?まるで敵意が無い。

 私は怪物に恐る恐る声を掛けた。



「・・・あなた、誰?・・・お願い、離して。」


 手で押しのけたいが体が動かない為、話すのが精いっぱいだった。

 そう問いかけると怪物は不思議そうな顔をした。怪物に隙が出来た。


 ―――ドスン!!!


 先生が奴の脚元目掛けて氷槍を放った。驚いた彼は飛び退くと同時に私を手放す。


 む?・・・私、動けないのだけど!!


 放り出された私は先生にキャッチされた。これ絶対に先生の腰痛くなる。


 彼は何事もない様にそのまま私を抱えて出口に向かって走る。


「捕まってすみませんでした。助けてくれてありがとうございます!」

「何もされてないか?」

「猫みたいに頬ずりされましたが・・・」

「なんだと?・・・・」

「それ以外は何も。大丈夫です。・・・突き当り右です!」


 怪物は悔しそうにこちらを見て咆哮する。

 突き当りを曲がる。抱えられたまま先生に聞いた。


「このまま脱出でいいですか?」

「ああ、腹立つがアイツは倒せない。だから今はそのままだ!」


 そして二人で出口の扉をタッチする。夢から追い出されるあの感覚と同じだ。


 気が付くと、私達は寮の先生の寝室に戻っていた。同時に先生も目を覚ます。目が合って二人して安堵のため息を吐いた。無事に帰って来れた。これでみんな大丈夫だろう。


 翌日、眠っていた生徒三人は無事に目を覚ました。念のため医師と魔術医の検査を受け異常もなく無事だった。そして、その日のうちに旧館は立ち入り禁止になった。


 調査チームも旧館に呪いの形跡が多すぎる点、あの地下へとつながる扉の封印が脆くなっていると報告し、王宮へ2カ月後予定の再封印の儀を今月末に執り行う要望を出し、それは異例の速さで無事に通ったそうだ。

 念のため1か月は持つようにと扉には簡易の封印が追加され、更に旧館も封印された。


 時折、誰もいないはずの旧館の窓から外を見る人影の噂話を聞くが、その後この事件はすっかり忘れ去られてしまった。


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