遊園地にて
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遊園地って俺二回目だ。
たぶん……そんな認識なのだが……。
子どもの喜ぶ場所とは認識していない。
そして──今回も遊びではない。
遊びではない……はずだった。
「徇くーんっ!! 次何乗るん?」
俺の少し前をこの《《残念なイキモノ》》相良は、はしゃぎながらパンフレット片手にキョロキョロしている。
首からポップコーンの可愛いケースを下げて、ご丁寧に耳の付いた被り物までゲットしてきやがった。
「徇くんもお揃いやで」
「…………」
そう言いながら俺にも同じ被り物を頭に乗せられた時点で、俺は今日の仕事は失敗だと悟った。
いや、俺は久しぶりに絶望感というものに襲われていた。
いい大人がどんだけはしゃいだら気が済むんだよ!?
もう俺は恥ずかしかった。
本気で穴があったら生き埋めにして、こいつと一緒にいる俺という存在すら消したかった。
でも同時に……何となく相良が羨ましくも思えてしまった。
アイツにも何か色々と背負っているものがあるはずである。
それが演技なのか分からないが……目の前の奴は楽しそうに笑っていた。
本当は……こいつの姿が正しいのかもしれない。
相良はパンフレット片手にキョロキョロとしながら歩いていたが……ふと立ち止まり目を輝かせている。
目の前には……。
何やらホラーアトラクションっぽいものが聳え立っていた。
「次はあのアトラクションやなー徇くんも早よおいでー」
なかり興奮気味にそのアトラクションの……ホラー系っぽい入り口で手招きしている。
何がそんなにアドレナリン分泌させる要因となっているんだよ……。
俺は理解できなかった。
そして疲れたこともあり、入り口傍のベンチに座る。
「どうしたん? 徇くん行かへんの?」
座り込んだ俺の顔を、相良が覗き込んでくる。
「お前、楽しんでくればいいじゃん」
めんどくさいし興味ないし……何より『目的を果たしたい』こともあったため、『一人で行ってこい』と言わんばかりに奴を追っ払った。
相良は「えー」と寂しそうなわんこ系な顔をしていたが……大の大人がそんな顔するな!
特にお前がすると……キモい通り越して怖いんだよ……。
相良は「まぁいいや」とテンション切り替え「ひゃっほーい♡」と言いながら入口へ突撃してしまった。
やはりコイツは残念なイキモノだ……。
相良を見送りながら……入っていくのを見届けると、俺は携帯を取り出した。