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夏の駅

作者: ああ。
掲載日:2020/08/13


目が覚めたのは、電車の停る衝撃だった。


疲れていたのか、すっかり寝ていたようだ。

田舎のせいで電車は1時間に1本が当たり前のこの街で寝過ごすのは

かなりイタイ。

「やっちゃったなぁ」

とりあえず停まった駅で降りる。

ひとつしか無い街灯に虫が群がっては飛んでいく


無人駅の改札をくぐりとりあえず次の電車を待つ事にした。

夏休みに入っても休みらしい休みをまだ過ごせていない美鈴は

溜め息をつきボヤいた。


「なーんでこうも毎日補習なのかなあー」

美鈴の他に誰もいない駅の待合室で伸びをしながら天井を見上げる

授業態度も悪くない

生活態度も悪くない


なのに成績は振るわず、夏休みなのに制服を着る日々を送っていた。


ジジッ


虫の羽音にふと我にかえる。


お兄ちゃんに連絡して迎え来てもらおうかな

スマホを取り出したその時だった。


美鈴は異変に気付いた。

1人だと思っていた待合室に、誰かいる。


人いたんだ。。

独り言も伸びも見られてた

恥。。

いつからいたの?


窓を開けておけば夜はエアコンがなくても涼しい

その為待合室の入口の引き戸も開け放たれていた


1人で勝手に羞恥心に苛まれながら美鈴は少し姿勢を正した。


その人は横並びに配置された椅子の端に座っていた。

美鈴から見て3つ向こうだ

来た時は誰もいないと思ったんだけどな。。


横をもう一度確認することはさすがに出来ず、何となく居心地の悪さを感じながら美鈴はスマホのメッセージアプリを開いた


兄にメッセージを送った後顔を上げると嫌な感じがした。

さっきの人、1つ席詰めてきてる

一応JKだし変なのには気をつけろっていつもお兄ちゃんが言ってたっけ


美鈴は何だか怖くなり、そっと立ちあがり後ろの列に移動した。

心臓が少しだけ早くなる。

スマホを強く握りしめる手に汗がじんわり広がるのが分かった。


気休めにゲームを始めた美鈴がふと顔をあげると、さっき座っていた列から誰も居なくなっていた。


何だったんだろうあの人。

周りを見渡すと、美鈴の心臓は大きく跳ね上がった。


さっきの人、また同じ列にきてる。

これは、間違いなく、やばい。

美鈴はとっさに立ち上がり外に出て兄に電話をかけた。

外は相変わらず街灯1つで暗い。

呼び出し音がなり続ける

プルルル・・・

待合室を振り返ると明るい室内が窓から見えた。

ここからだと1番後ろの列が見えない。

まってあの人いつ立ったの?

立ったり座る動作くらいあの距離ならわかるよね?

心臓がどくどくうるさい。呼吸が早くなる

プルルル・・・

あの人なんなの!?


あの、、あれ?



おじさん?


おばさん?


女の人?


男の人?


そもそもあのヒトって?


アノヒトって何だ??

美鈴の全身の血の気が引くのがわかった。

待って、、待って!



その時、車のヘッドライトが見えてクラクションがなった。

窓が開き見覚えのある顔を覗かせて美鈴を呼んでいる。

美鈴はすぐに車に飛び乗りその駅を後にした。


「美鈴お前なー、警察に捜索願い出すとこだったぞ」

兄が安堵した様に話し出した。


「捜索願い?なんで?」

「何でって、お前が連絡してきた駅名もう使われてない廃駅だぞ」


廃駅?


「何言ってるの?電車停まったし、さっきまであそこの待合室にいたんだよ?電気もついてたし。てかあそこの待合室やばいよ!絶対何かいる!!怖すぎてお兄ちゃんに電話したのに出てくれないし!まぁ、その後すぐ来てくれたからよかったけど。。」

美鈴の心臓が再びどくどく言い出す。


「何夏だからってその手の話俺あんま好きじゃないんだけど。お前からの着信きてないし。とりあえず、居てよかった」

兄は少しバカにした様に笑いながらも本気で安堵している様子だ。

「お兄ちゃん!ほんとだってば!!」

あれだけの明かりならここからならまだ見えるはず

美鈴が振り返ると、そこには暗闇の中廃れた駅舎が薄暗い街灯に照らされてうっすらと浮かび上がっていただけだった。


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