第3話 男の娘受付嬢誕生
座り込んだままのボクに、受付の獣人のお姉さんが手を差し出してくれた。
ストンと立ち上がる。
「あ、ありがとうございます。」
「いいにゃ。アタシは受付嬢のリンリンにゃ。」
そう言って微笑んでくれたリンリンさんの手を、思わずふにふににぎにぎしてしまう。
に、に、肉球〜〜〜!
「ど、どうかしたにゃ?」
「可愛らしい手ですね…!」
にへらっと笑ってしまう。肉球は正義。肉球こそ愛すべき宝。癒しのふにふに。
そんなボクに、キョトンとした後、リンリンさんが寂しそうに微笑んだ。
「…君は人族なのに優しい子にゃ。」
「えっ…?」
「何でもないにゃ。仕事だけど、商人はおススメできないにゃ。君の体力だと移動中に死ぬにゃ。」
「で、ですよね…。」
しょんぼり肩を落とすボクの頭を、リンリンさんが肉球ふにふにヨシヨシしてくれる。
「ギルド長に紹介するから、受付嬢やるにゃ。鑑定はレアスキルじゃないけど、持っている者は少ないから、たぶん採用してくれるにゃ。」
リンリンさんにギルドの奥の部屋へ案内される。
そこでは、がっしりとした筋肉の50代ぐらいの男性がスクワットをしていた。
ばっちり綺麗な化粧をしている。
「ギルド長〜!受付嬢の採用希望にゃ。面接お願いしますにゃ。」
「フンッ!フンッ!私の試験は厳しいわよ!心して自己紹介しなさい!」
ギルド長が、スクワットを続けたまま、品定めするように見つめてくる。
ここは勇気を出して、採用されるように、しっかり自己アピールしよう!
「ボク…。」
「採用!」
ボクの名前は!と言いかけたのを、クワッと遮って、ギルド長がセクシーポーズで言い放つ。
ええ〜〜〜?!
う、受かってしまった?!
「ボクっ娘萌えだから採用よ!」
「だ、だが男です!」
「男の娘?!尚良し!」
こうして、腑に落ちないまま、ボクはギルドの受付嬢になったのだった…。
「ウサギノと申します。よろしくお願いします。」