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第二話 雑学メモ

前回に引き続き、作品の雰囲気を壊さない為、後書きをこちらに入れています。



…三万字超えました。短編じゃないよ…。

何かこう、あみだくじの項目をちょっと考えた方が良い気がしてきました。

一回目がスライム。二回目がロボット。それだけでジャンルが限定されてしまうじゃないですか。いやまあ、スライムが出てくる推理物とかロボットが出てくるゴシックホラーがあっても良いだろうけどさ……。


今回のイメージ音楽

ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」「月の光」

シークレット・ガーデン「White Stones」


シークレット・ガーデンには毎回、お世話になっています。ラスト近くでは延々繰り返していました。

何がきっかけでイメージわくか、わからない所がありますね。今回は、アクセサリー売り場にあった髪止めがなぜか、イメージ作りに役立ちました。話が途中でぱたりと止まってしまって困っていた時、ふと目に入った髪止めのキラキラ。

「ああ。……花、咲かせようか、湖に。で、キラキラ。うん。キラキラだな」

ぶつぶつ言いつつ眺めている私は、かなり不審な客だったでしょう。


参考文献 及び引用

「人魚のひいさま」 ハンス・クリスティアン・アンデルセン Hans Christian Andersen

楠山正雄訳 青空文庫

※「人魚姫」です。

その他の詩はゆずはらの創作です。




用語説明&登場人物のちょっとした解説



アンデルセンの「人魚姫」


19世紀の童話作家、ハンス・クリスチャン(クリスティアン)・アンデルセン(デンマーク語読みではハンス・クラェスデャン・アナスン。別人に聞こえる…)が書いた作品。説明するのもなんですが、有名な童話です。いろんな所からいろんな人の訳した本が出ています。映画化もされています。

今回は青空文庫収録のものを使わせていただきました。かなり古い訳です。

なお、ディズニーの「リトル・マーメイド」は激しく原作とは違うので、別物の作品として楽しんだ方が良いと思われます。


エド


仮想現実では黒髪の青年、実年齢は六十歳ぐらいのおじいちゃん。佐原珪晶とその親友ポールの共通の友人でした。ポールが会社を設立した時には、共同経営者にもなりました。どちらかと言うと常識の通じる方だったので……多分苦労したでしょう。

 

K・サハラ(佐原珪晶)


日系という設定。アジア系で黒髪にスカイブルーの目というのは、かなり珍しい組み合わせです。アジア以外にも相当複雑に、いろんな人種が混じっていたと思われます。色々と面倒を引き起こしつつ、本人にその自覚が全くなかったという。あんまり詳しく設定しなかったのですが。

『夢が凝縮されてできているような人物』と言うのは、理数系の人から見たら、不思議に見えるから、と思って下さい。英語系の言語って、理数系の感じするんですよね……言葉の仕組みが何となく。日本語と違って左の脳しか動かないというのもそれで納得すると言うか(日本語は、使う時に右脳と左脳両方動くが、英語系言語の場合、左脳しか動かないらしいです)。その分、欧米の方は音楽や美術など、右の脳を動かす芸術系の存在の重要性を、本能的に知っているのではないかという気がします。バランス取らないとオーバーヒートしてぷしゅーっとなるから。で、力入れて保護する。

彼はおそらく、右の脳でばっかり行動する人だったんでしょう。それが人によってはおそろしくハマる存在になった、と。身近にいると、とっても迷惑だったんじゃないかな……。


KC


主人公。特に名前は決めませんでした。イニシアルを呼び名にしています。


ケネス


ポールの孫。作中ではアレですが、実はマトモな人。いろんな意味で。父親をはじめとして、周囲に電脳オタクや芸術家肌の人間しかいない状況で、会社経営をしてきた。壮絶な苦労があったと思われます。ヒネても仕方がない。


ジョン


いい人だー……(笑)。モテモテなのにも理由がある、気配りの人です。厳しいお姉さんと、歳の離れた弟妹がいます。


泥屑領域


ネットスラムのゴミ捨て場。好き好んで出入りする人は、あまりいません。


ネットスラム


近未来の設定です。インターネットへのアクセスはみんな、ヘッドセットつけて、バーチャルで入ります。正規の場所ではなく、アヤシゲな情報の切れ端がふきだまっている、そんな場所だと思ってください。


フーケの「水妖記」


伝説を元にして、ドイツのフリードリヒ・フーケが書いた作品。岩波文庫から「水妖記 ウンディーネ」が出ています。人間の騎士フルトブラントと結婚した水の精ウンディーネは魂を得るが、夫が水の側で彼女をののしるという禁忌をおかしたため、水の世界に戻される。フルトブラントはかつての恋人ベルタルダと再婚しようとし、さらに禁忌をおかしたため、ウンディーネは精霊の掟に従い、愛する夫を殺す役目を与えられる。19世紀の美しく悲しい作品です。フランス、ジロドゥの「オンディーヌ」など、多くの作家に影響を与えました。


ヘブンリーブルー


西洋朝顔です。意味はそのまんま、天国の空の青。水色の花が咲きます。明るいスカイブルーと言えばわかるでしょうか。

朝顔は英語で、モーニンググローリーと言うのですが。天国とか、天使を連想しやすい花みたいですね。形がトランペットに似ているからでしょうか。天使は楽器を持っている姿で描かれやすいのですが、聖書では竪琴の他は、タンバリン、角笛やラッパなどが出てきます。その辺からでしょうかね?

 

ポール


一度も登場せず、それでいて重要なポジションを確保していた人。死んだ友人に執着するあまり、会社を設立して仮想現実に自分ワールドを作り上げ、そこを彼の思い出で満たしたという、オタク道を貫いた人でもあります。公私混同を堂々とやりまくる彼はきっと会社では、秘書やら重役やらの胃に穴をあけまくっていたでしょう。




作中で使用した詩


『月光魔法庭園〜月は不思議な夜の魔法〜』


『なろう』サイトでは『童話めいた小夜曲集』の、『紡ぐ言葉の花束』に収録しています。『雀の子』のページ合わせに書いたもの。



夜鶯鳥ナイチンゲェル


昔、コピー本で『天使の残像』というのを出しました。そこに書いていた詩。ナイチンゲールは普通、夜うぐいすとか、小夜鳴鳥とか訳されますが。これは私の造語。昔っぽい雰囲気を出したくて、『ナイチンゲェル』とルビをふりました。



『両腕にいっぱいの花を抱きしめて』


『童話めいた小夜曲集』内の『紡ぐ言葉の花束』収録。



『夜明けの足音が響く前に』


ここが初出。



『夜』


初出。



『夜明け』


初出ではないのですが……今はもう消滅しているサークルの会報に載せました。


以下は詩の全文。


『月光魔法庭園〜月は不思議な夜の魔法〜』


紅を薄く掃いた空に

ぼんやりと浮かぶ

くすんだ青と灰色にとりまかれて


やがて時が満ち

魔法が光を放ちはじめる

遠く 世界の果てまでも


そして 花開く夜の庭

時にあらざる時

地上にあらざる地上に

もうひとつの地平が現れる


それは魔法

現実にはないはずの 幻の地球

白い花々の香は甘く

迷い込んだ旅人は

夜うぐいすの調べに聞き惚れて

現実への道を 見失う



『すずやかなる月の音色』


夜が美しい。

なんとすずやかな月の音色。

時が静かに瞬いて、何かを囁きかけてくる。

誰も、いない。

起きている者は誰も。

愚か者がひとり、夜に魅せられているだけ。


闇が優しい。

なんと明るい全ての径。

言葉は溶けて、呟きは蜘蛛の糸のように張り巡らされる。

銀色に、光る。

行く先を指し示す呟き。

太古の夢の如き闇に、私は佇んでいる。


これを美と呼ぶか?

それとも畏れの余り、忘れ去るか?

夜が呟く、闇が全てを露顕させる。


これを恐怖と呼ぶか?

それとも叡知と呼んで、愛するか?

昼の間は隠しおおせている虚偽の仮面をはがす。


夜が美しい。

なんとすずやかな月の音色。

時が静かに瞬いて、何かを囁きかけてくる。

誰も、いない。

起きている者は誰も。

愚か者がひとり、夜に魅せられているだけ。



夜鶯鳥ナイチンゲェル

 

ご覧、夜鶯鳥ナイチンゲェル

あのひとが通る。

しっとりと天鵞絨びろうどの夜の中、

銀の糸を吐く月のもと。


ご覧、夜鶯鳥、

夜がちりちりと金に鳴り響く。

あのひとの吐息がつまびく、

月さえ魅入られた静寂を。


さまよい出たのはあのひとか、(それとも私か?)

夜の青さに身を浸して。

迷わされたのは夜か、月か、(それとも私か?)

あのひとの夢に酔い痴れたのは。


ご覧、夜鶯鳥、

私はあのひとをつかまえるよ。

夜でつつんで、月光で絡めとろう。

歌っておくれ、夜鶯鳥。



『両腕にいっぱいの花を抱きしめて』


両腕にいっぱいの花を抱きしめて

25時の地球に少女がたたずんでいる

さやさやと

ふりそそぐ 月の光


両腕にいっぱいの時を抱きしめて

月明かりの世界に少女がたたずんでいる

ゆらゆらと

通りすぎる いくつもの夢


ぱらぱら ぱらり

手と手の間から

こぼれてゆく

こぼれてゆく

それは なに


両腕にいっぱいの月影を抱きしめて

飛びはねては消える夢たちの中に少女がたたずんでいる

おやすみ

おやすみ もう25時

抱きしめた花も時も月影も


やさしい雨にかえて 地上へと降らそう



『夜明けの足音が響く前に』


夜が過ぎてゆく

夜が過ぎてゆく

静寂の音色を世界に落として

やがて朝がくる

やがて朝がくる

ばらいろの足音を地平に響かせて

ああ けれど今はしばし

夜の音色に酔いたい

時よ 歩みをゆるめておくれ

暁よ 刻を忘れていておくれ



『夜明け』


両腕を広げ

夜明けの風を受けて歩こう

広がる大地はわたしの足を支えてくれる


顔を上げ

夜明けの色を受けて歩こう

霧は晴れ 雲は去り 天は宝玉の輝きに朝を歌う


夜が好きだ 月光が好きだ

静かな眠りが好きだ 夢をつむぐ夜鳥の声が好きだ

そして明けてゆく世界が好きだ このひとときが


挨拶をおくろう 夜明けを告げるこの風に

眠りから覚めた小鳥に 明るくなる東の稜線に

挨拶をおくろう 呼吸する緑と生命に

 

わたしの愛するこの世界に


次回予告。


いつ「初夏の昼」

どこで「学校で」

だれが「少年と王子が」


……………。王子?


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