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掌編小説

言う

作者: 斎藤康介

 嫌なことを思いだした。昔、上司に言われたことばだ。

 「お前の本音が見えない」と、報告書を提出するたびに叱責された。必要なことは記載しているつもりだった。いつ、だれと、どこで、何を打ち合わせ何が課題として挙がったが、要望はなにか、英文法の基礎のように要点はおさえているつもりだった。だがそれを見て言うのだ。

「だからどうした」

 それはこちらのセリフだった。要望に対処すればいいだけのことではないか。

 結局、その会社は辞めた。


 同じだった。

 彼女は俺に言う。

 どうしたいの。そして、どうしたらいいかわからないの。

 要望を言ってくれればいいのだ。結婚したいとか、別れたいとか。俺はそれに対処する。簡単なことのはずだ。だが、彼女は泣くばかりでそれ以上は何も言わない。

 そして、別れ際に言う。

「決めたら連絡して。待ってるから……」

 言うべき言葉が見つからないまま、ただ黙ってうなずいた。

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